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2006.02.09

鯛之川のガイドツアー遭難事故の判決

2年前、屋久島の鯛之川で起きたガイド登山遭難事故の判決が出た。業務上過失致死傷罪で禁錮3年、執行猶予5年ということだ。

この事故で亡くなった方々の悲しみと憤りはお察しするに余りある。この判決への評価など、私が口を出すようなことではない。

senpiro 千尋滝

ただ現実的に考えてこの事故の深刻な点は、ガイドであった西郷さんがこのツアーに賠償のための保険をかけていなかったという点にある。もし執行猶予のない禁錮だったら、少なくとも3年の精神的猶予がもらえたことになるのかもしれなかった。執行猶予がついたのは、決して温情判決ではなく、直ちに賠償のための行動を開始しろ、という厳命が含まれているのではないだろうか。

だからもはや西郷さんを、他人が弾劾したりする必要は感じない。ガイドとしての未熟も軽率さに対しても、本人が誰よりも自覚し、後悔しているだろう。

判決がどうあったとしても、事故を起こしてお客さんを3人も死なせてしまった以上、その心理的責任も賠償もすべて本人にずっしりとかかっており、他に誰もそれをうべなうことは出来ない。

tainoko 鯛之川大渕渡渉点近く

誤解を恐れずに言うが、私はその事故が起きたときの西郷さんの心の動きが、同じ仕事を担当する者としてとてもよくわかる。難しい判断を強いられたときの悩み、お客さんの力量への不安と予想外に行動がはかどらないことへのあせり、次第に悪化してゆく天候、撤退するのか他のルートからエスケープするのかの判断、本当にこの判断でよかったのかという疑念、判断が甘かったことを悟ったときの後悔、取り返しのつかない事故を起こしてしまったことの重圧感。これから果たしていかなければならない責任の重さ。

すべて自分のこととして共感してしまう。どう考えても他人事とは思えない。

この事故について、一般論をどこかから借りてきたような無責任な評論をしても意味がない。我々に出来るのは、この事故から何かを学びとることだ。現場で、どのような状況でどういう判断をしていったか。どこで判断を誤り、どこから取り返しのつかない状況につかまってしまったのか。判決に当たって検証された事故当時の詳細な状況の推移を公開してもらいたい。いかに今後の安全対策に役立てるか。このことに尽きると思う。

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