林野庁の花粉データ「粉飾」2
(前の記事から続く)
なぜこのような情けないことをするのか。それはこの事業のために、2002年から2005年までの4年間に5億2000万円の予算が使われているからだ。
⇒http://www.asahi.com/national/update/0221/TKY200602210399.html
花粉症を克服できる、と自信満々で獲得した5億2000万もの予算=血税が、ほとんど何の効果もなかったとなれば、これから始まる来年度の予算折衝に当然暗い影がさしてくるだろう。「握った金は事実を曲げてでも離さない」という信念には恐れ入るしかない。(それ血税なんですが。離せよ)
ところで133箇所のうち残りの56ヶ所はなぜ追跡できなかったのか。
どうも追跡調査をその土地の自治体にさせたらしい。なにしろ、2年以上の継続調査は「自治体の協力が得られなかったために出来なかった」というのだ。それなら56ヶ所については、最初からまったく追跡していなかったということだ。要するに林野庁は金(血税)だけ出して業者や地方自治体に仕事をやらせ、自分たちでは何もしていないのだ。データの重みがわかっていないから、平気でいじれるのだろう。
花粉の追跡調査は1年では不十分で、数年は継続調査を行う必要がある、という指摘もある。⇒http://www.yomiuri.co.jp/science/news/20060221it06.htm
誤解のないように(笑)行っておくと、間伐そのものは、今の人工林をなんとかたてなおすために必要な作業だ。
だから、林野庁が税金を使って間伐事業を進めることには異論はない。
問題は、「あんたたち、ほんとに森林経営のプロか?」という疑問だ。
この事業のほかに、林野庁はいくつも花粉症対策を行っているし、それらのなかには、成熟して開花し始める前に伐採して回転させてゆくとか、不稔性のスギを品種改良する、といった使えそうなアイディアもあると思う。しかし今回の対応は、いかに林野庁の手法が科学的でない胡散臭いものであるか、明らかにしてしまった。
ヤクスギランドや白谷雲水峡では訪問者が自然保護のために協力します、といって一人300円ずつの浄財を預けてくれており、現在その総額は年間4000万を越えている。しかしデータの処理が確実に出来ない機関に「協力金」の管理は無理だろう。浄財の管理はなによりもガラス張りの明快さを必要とするからだ。もし握った金はなんとしても離さない!と頑張られたら、花粉根性ですね、とでも言ってしまうだろうなあ。
どう考えても「協力金」の管理は林野庁だけにまかせず、屋久島全体で責任を持ってきちんとをお預かりする仕組みを作る必要があると思う。
さて、この件をすっぱ抜かれた林野庁はHPの該当箇所を「約50%程度減少した例もあり・・・」と書き直した↓
平成15年度の事業実施個所の測定結果については、本数で20%~30%を伐採することによって、雄花着花量が事業実施前に比べ約50%程度減少した例もあり、高い効果が期待しうる方法であると考えています。⇒http://www.rinya.maff.go.jp/seisaku/sesakusyoukai/kafun/situmon.htm 林野庁HPより
(傍線筆者)
・・・まーだ諦めてない !?
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