そろそろヤッコソウの季節
開花を始めたヤッコソウの花。(今年の写真ではありません。2004年10月21日西部)
そろそろヤッコソウの季節になりました。
葉緑体を持たず、見たとおり肌色の光合成をしない完全寄生植物で、水やエネルギーのすべてを寄主の椎の木(スダジイとコジイ)にたよっています。
樹齢50年程度の壮年期のシイノキとともに生きているときに、ヤッコソウは元気よく活動できるらしい。屋久島の戦後の薪炭林が放置されているところにはちょうど40~50年もののスダジイが多く、現在、ヤッコソウ寄生適期の樹齢の木が多くなっています。
探せば案外その辺のちょっと古めの森で見つけることができますが、北限は東シナ海側が甑島、太平洋側が徳島県の海陽町。亜熱帯気候ぎりぎりといったところで、国内では「南方系の珍しい植物」の類になります。
ところが分布は非常に面白い。東南アジアの山地~日本と、メキシコ南部~グァテマラの山地と、太平洋のあっちとこっちにわかれているのです。
日本南部から琉球列島、ボルネオ・スマトラ・ニューギニアの山地で、これはおなじみ「照葉樹林帯」と一致してます。寄主のシイ・マテバシイ・カシ類にくっついて分布している、といえるでしょう。ただしニューギニアでは変わっていて、フトモモ属(ホウトウ。グァバやアデクの仲間)についているらしい。
メキシコのヤッコソウは・・・なぜ、どのようにこういう分布になっているのか、わかりにくい。
かつてテーチス海(現在の地中海、黒海、カスピ海、中央アジアからチベットにかけての塩湖群、が、その名残) のまわりで発達したといわれる照葉樹林の、東と西でからくも生き残ったということなのでしょうか。
ところでヤッコソウ、私の自宅のすぐ横にも出ていました。しかし寄主のスダジイがかなりの老木なためか、昨年は咲かずじまい。今年はどうだろう?
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