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伊豆の友人宅に一泊して、大瀬崎に行って来ました。ここにある驚くべきビャクシン群落を見るためです。
ビャクシンはヒノキの仲間です。そのヒノキの仲間とは、乾燥地や塩害のある海岸、高山、険阻な岩場などの、ひどい条件に適応したスギの仲間ということになります。ビャクシンの実は香りがよく、酒を蒸留するときの蒸気にこの実を潜らせたりしてつくるのがジンです。
ビャクシン類は屋久島付近だと、ミヤマビャクシンのようにヤクスギも苦労する黒味岳などの場所に、ハイマツのように地を覆っているか、種子島のハイネズのように海岸に生育するものがあります。物好きな連中だな~という印象ですが、この日の大瀬崎もまた折からの冬型の強風が吹き荒れ、寒いし塩はかぶるし大変な状況でした。
ビャクシンの樹林は予想以上にすごいものでした。植栽されたものでは湯河原にある城願寺のビャクシンが有名ですが、大瀬崎はほとんど自然林といっていい状態で、大きなものはほとんどヤクスギ並み(いちばん上の写真)ですし、えらいのは若木がどんどん生育していることです。
大瀬崎といえばダイビングのポイントとして有名です。こんなひどい日には誰もいないだろうと思ったらとんでもない、浜には300人を越える大変な人出でした。
岬のほうにも機材の台車を押してダイバーが入り込んできて、次々と荒波に突入してゆきます。写真はそんなようすを強風に縮み上がりながら、ビャクシンの木陰から見守っているところ。
自然科学のいい入門書を探していたのですが、ついに出ました。これはエコツアーガイドの基礎トレ用教科書に最適なシリーズです。すばらしい!
屋久島の自然に切り込んでゆく我々にとって、この内容は必須ツールといっても過言ではないでしょう。
地質学でも、しっかりした基礎力のない状態でいきなり講義を聴いたり、専門書を探ったりしても、たぶんその分野では常識であろう問題がどこにも説明されておらず、もどかしい思いをすることが少なくありません。この本は地球科学関連のあたらしい豊穣な情報が網羅され、体系化されており、適切なレベルで記述されています。
反対に、この手の入門書は、えてして内容を難しくないようにと内容を削りすぎ、単調でつまらない本になったり、受けを狙いすぎて薄っぺらくなったりしがちなのですが、このシリーズの著者はそのへんもよ~くわかっていて、いちいち腑に落ちる説明を繰り出してくる。その力量は大変なものです。
知的好奇心があふれ、自然の面白さを生徒たちに教えてやりたくてたまらない意欲に燃える専門家にとって、あのつまらない検定教科書を作らされるのは、大変なフラストレーションなのだろうと思います。
その欲求不満をゴウゴウと燃やしたのがおそらくこの本で、自然に関心を持ち始めた生徒たちをこっちに引き込んでやろう、という思いが良くわかる。その解説テクニックは、われわれのインタープリテーションに大いに通じるものがあり、これもまた勉強になります。
現在「地学」を分析中。これまで納得のゆかなかった小さな問題もだいぶ片付き、まさに「かゆいところに手が届く」一冊です。おすすめです。
※生物は未読。化学と物理も出版されてますので、これもいずれそのうち・・・。
すごいサイトが誕生していました。国内の地形図をほぼ自由自在に使える国土地理院の電子国土ポータルです。もちろん屋久島も他の島もOKです。
旅行用にはマピオンのほうが使いやすいし、大縮尺から小縮尺へのスクロールはカシミールが上ですが、山屋にとっては地形図そのものを使えるという点が絶対です。アップされている地図のコピーもほぼ自由と、完全に情報を公開・共有する姿勢なのが立派です。
ほかにもこのシステムを使った「電子国土サイト」作成なども面白そうなので、研究してみます。
なお、これとは別に国土地理院の地図閲覧サービス「ウォッちず」もあり、これは1/25,000地形図の4分割図ごとに表示できるようになっており、地名に地形図をリンクさせるのに便利です。
「ウォッちず」自体は電子国土ポータルの完成でその役割を終えつつありますが、おまけでついている立体視システムはちょっと面白い。
デジタルデータをいじって地形図で立体視ができるようにしたもので、慣れてる人ならけっこう立ち上がります。これは以前できないかな~と考えたことはあるのですが、国土地理院にも同じことを考えた技術者がいたようですね。遊べますし、地形図の読み方に慣れるのにもいいかもしれません。
GooglEarthといい、電子国土ポータルといい、この世界も進化のスピードが速いですね。
名著です。斉藤政喜さんとの『東方見便録』いらい注目していましたが、そのゆるがない座標軸、明快な好奇心、眼力に、完全K.O.です。
60pバリの章のメガネの人が内澤さんか。 そういえば私もギャニヤールでうまいバビグリン食べました。
沖縄関連でけっこうピンと来る記述がいくつかありました。沖縄に「ある動物」を食べる文化かあるそうなのですが、先日屋久島のある集落でまさにその文化がある、という話をしたばかり。←未調査ですが。
私用の連絡事項です。すみません。
「土橋イチゴ園」
ピン!と来た方は小原までメールください。
『るるぶ屋久島・奄美』最新版がでました。見まごうことなきこの表紙が、すでに書店に並んでいます。
YNACは今回「沢登り」と「MTB」で登場しています。
P10のものすごい滝の写真もうちのです。・・・はたしてこんな写真を出していいのでしょうか? よい子はあぶないのでまねをしないように。
(どうしてもやってみたければ、ぜひYNACに問い合わせてくださいね。沢登りとMTB以外の各種ツアーもお薦めです)
編集の八木さんありがとうございました。
なんと春一番の雷雨です。降りっぷりもなかなか。→「060214_013.avi」をダウンロード
このときの気圧配置を気象庁HPから引用↓
日本海に入った「二つ玉低気圧」から大隈海峡に寒冷前線がのびて・・・
前線の激しい雨雲が屋久島を横断しています。
通過後は雨も上がるようですが、その後はまた冬型になりそうです。
白谷で、ヤクシカが餌付けされています。かなりまずい状況です。
楠川歩道の白谷川左股渡渉点で昼食をとっていたとき、オスが現れました。角が長く根元の第1枝はあるが、先っぽのほうの第2枝がなく、ひと目で識別できる個体です。
ようすをうかがいながら寄ってきて、無言で物欲しげにわれわれの弁当を見ている。こいつはおかしいと、YNACタカが小石を投げて餌付けテストをしてみました。
→そのときのシカのようす動画「070211.avi」をダウンロード
明らかに「おっ、餌くれた」という反応をしていますので、このシカが餌付けされていることは間違いありません。白谷小屋も近いので、特定の人間か不特定多数かはわからないが、人がある程度以上、継続的にシカに餌をやっているようです。
屋久島では野生生物に餌を与えてはいけないのは常識かと思っていたら、そうでもないらしい。
そういえば、私が担当したYあるお客さんから、「縄文杉の近くでガイドさんがシカに弁当を与えてたんですけど・・・いいんですか?」 という話も聞いていたのでした。単なる目撃ではなく、そのお客さんに同行した「地元ガイド(←知人)」がやったということなので、事実でしょう。
奈良公園や厳島のような神苑はいざしらず、屋久島のような野生地域でシカを餌付けするのは、やってはいけないことなのです。行動が刷り込まれたシカは、もはや応用が利かず、決まった行動しかできなくなるようで、これには私も新高塚小屋で経験しています。
数年前のこと、小屋には他に誰もおらず、1人でデッキで食事をしておりました。ふとけもの臭さを感じて振り返ると、傍らに角の立派なでかい雄がいて物欲しげにこちらに鼻を伸ばしている。
こんな凶器を構えた奴がうろついていては物騒だ。痛い目にあわせておこうと、その辺の石を至近距離から「手加減なし」でそいつにぶつけました。(すいません)
そいつはビャッ!と叫んで10mほど飛びのく。・・・これでこのシカは2度と近づいてこないだろう。私は心に痛みを感じつつ、食事を続けたのですが・・・。
ふと振り返ると、また来ている。すぐそこに。私は驚愕し、同じことを2~3回繰り返したすえに、愛のムチくらいで大人のシカを再教育するのは不可能であることを悟りました。
このように、餌付けはシカの人生(鹿生)を決定的に堕落させてしまい、取り戻すことはできないのです。どうしたものやら、この白谷のシカ。
屋久島のシカ問題に関するアンケート調査票。
以前のエントリーで引用した立澤さんのコメント、
「・・・この時期(ちょうど全戸アンケート配布時期)にこの内容は、誘導・操作 だととられてもおかしくなくまずいと思います。」
というのは、まさしくこのことですね。誘導というよりも、ひいきの引き倒しという感じかも。まあ、屋久島島内は南日本新聞の牙城で、朝日新聞の購読数は激微ですから、あまり影響はないかもしれません。
農作物の被害の実態調査の部分は、現実の問題についてのデータ収集になっていて、とくに異論はありません。また問12のシカ肉に関する意識調査についても、わたくしは「1-5-1-1-1-1の絶賛!」ということで処理していただいてけっこうです。
しかし問6~8に関しては、はっきり欲しい結論への誘導になっていると思えます。
「広大な国有林伐採地が餌場になってシカが増え、希少植物への食害が進んでいることがわかった、ついては・・・」という前提であれば納得できるのですが、そうは書かれていない。
「とにかく希少植物が減っていて、それはシカのせいに決まっているのです。大問題だと思うでしょう? だからシカを大いに減らすべきだと思いませんか?」という流れになっている。
「根絶する」という現実的でない言葉を選択肢に出して、「頭数を減らす」という落しどころをマイルドに感じさせる手法など、アンケートの誠実さという意味ではどうなんでしょう。善意あるプロジェクトの期限が結論を急がせているのだと思いますが、こういう強引さが、むしろ信頼を損ねるのでは。
結局このアンケートを元に、島民は「シカを駆除するべきだ」との合意を形成した、ということにするのかな。それとも違った結論がでるのでしょうか。
私は、Yプロジェクトの松田さんの案にあるような、山岳地での大規模なヤクシカの駆除を必要とする管理プロジェクトが必要かどうかについては今なお疑問を持っています。しかし農作物被害対策は最優先されていいし、ついで増加の原因とされている林道沿いと国有林伐採地の駆除はやってもいい、という考えです。
で、本物のヤクシカ肉を安房のレストランで食べられるようにするのは、大賛成です。

フィールドライフに連載された 『シェルパ斉藤の ニッポンの山をパックパッキング』 がクールなムックになった。
斉藤さん、軽やかに歩いている。
屋久島のゼロ・トゥ・ゼロを含む、9編のパックパッキング紀行がのっている。ほとんどのルートは、学生のころ重なったり交差したことがあるので、その気配がまた懐かしいのだが、一方で視点も文章も、登山系の書籍がもつ特有のにおいがなく、一読して新鮮だ。
そしてあらためて日本の山道を高く評価しているのが嬉しいところだ。国内から世界各地へ、さまざまな道を歩いた人の、安定したぶれのない言葉。
なかでも著者らしいのは、「わが町から東京へ行けてしまう」 トレイル・トゥ・トウキョウ編である。瑞牆山から雲取山・日原まで、要は奥秩父~奥多摩縦走なのだが、舗装路を踏まずに60km歩いて上京しますというキレた設定。いいねえ。さすが。
屋久島以外の山歩きは、そういえば何年もごぶさたしている。この本を読んで、また普通に山を歩きたくなった。
2月23日~26日東京方面へ行くことになった、のですが、24日~26日の日程がぽかっと空いてしまいました。
どうしようかな~。
この時期に東京近辺でなにか面白いことはないでしょうか?軽井沢のピッキオか、富士山のホールアース、あるいは伊豆の土橋イチゴ園を視察に行きたいとも思うのですが。
2007年2月4日付の朝日新聞全国版の社会面に、『ヤクシカ、厄シカ? 屋久島 植物荒らす/駆除にも壁』という記事が掲載された。ご覧になった方も少なくないと思う。
要旨を引用↓
とのことで、桑原紀彦記者の署名記事。取材先は矢原徹一九大教授と、立澤史郎北大大学院助手となっている。
(矢原先生のサイトは非常に活動的で面白い。『空飛ぶ教授のエコロジー日記』は自然科学系で国内有数のアクセス数を誇る看板ブログだし、「屋久島研究ネットワーク」は屋久島に関わる研究者を網羅したリンク集で、その広い交友関係を垣間見せてもらえる。)
ヤクシカ問題をリードしている矢原プロジェクトは、自然科学系では最新の研究チームで、植物とシカの動向について今までにない角度から屋久島に切り込んでおり、その成果には学ぶべきものが多い。
朝日の記事は、ほぼこの矢原プロジェクトの趣旨に沿うもので、とてもわかりやすく、まさに屋久島のホットな話題に加油するものになっている。
ただ残念ながら間違いがとっても多い。
このことについて、立澤さんにメールで問い合わせたところ、回答をいただいたので、下記に一部引用。↓
「この桑原さんという記者は、昨年11月末に屋久町で行われた行政関連のイベ ント「南の風交流会」(南薩の行政が毎年テーマを決めて開く交流会;昨年は 屋久種子が会場で、上屋久町がヤクシカをテーマにしました)にヤクシカ問題 を取材に来られていました。」
「・・・私と矢原さんの発言をうまくつなぎ合わせて、わかり やすい=扇動的な表現にされているようです。よくあるパターンではあります が、この時期(ちょうど全戸アンケート配布時期)にこの内容は、誘導・操作 だととられてもおかしくなくまずいと思います。」
「・・・こ ちらの意図以上に関係者のステレオタイプ化が進むことを危惧する状況も生まれています。次の報告会(4月末or5月の見込みです)ではこのあたりの経緯も
あわせて、冷静な議論が進むよう気をつけます。」「桑原さんには上記のことを伝え、注意をお願いし・・・ すでに「以後注意します」の返事をもらいました。」
このように立澤さんは、事実に基づかない思い込みが一方的に過熱するのを危惧されている。
ヤクシカ害悪論はけっこう島内で定着しつつあるようだが、こういうことこそ思い込みではなく、科学的に正確な判断をしなければならないと思う。私の見解は以前このブログでも書いた。
白谷雲水峡のコケが美しいのは、実はシカがそこに生えてくる木の実生を駆除し「管理」しているからかもしれない、とYNACでは仮説を立てており、現在比較調査中。
シカによるコケ管理?動画→「060610_033.avi」をダウンロード まあ草むしりをしているのだが、もちろんこれだけで確かなことはいえない。
記事の本文と、立澤さんによる訂正箇所はこちらをごらんください→「070204asahiyakushika.doc」をダウンロード おまけで小原の書き込みもついてます。
鹿児島中央駅アミュプラザ6F、アジアンカフェ『風東澳門(フートンマカオ)』。シネマコンプレックスのとなりにあるので、待ち時間になにかつまんでビールでも飲むのにちょうどいい。
↑ その内装がこうでした。
一見普通のボックス棚なのですが、左中と中央右のマスがになにやら詰め物のようなもので埋まっています。近づいてよく見ると・・・
なんと乾燥したハイゴケでした。
近年、高速道路の路側帯とか、ビルの屋上や壁面緑化とか、日常環境を少しでもうるわしく、という分野へのコケの進出にはめざましいものがありますが、インテリアにまで進出しているとは。
それにしてもこの乾燥ハイゴケ、どうするのでしょう。このまま鑑賞して心を慰めればいいのか。それともなにか機能があるのか。乾いた日には、これを霧吹きでしめらせて湿度を調整するとか? まさかね。
こういうの、増えているのかなあ。そういえば園芸分野に「コケ玉」というのがありますが、あれはインテリアというよりは、たまごっちみたいなものですしね。
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