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『日本の幻の滝』 志水哲也 山と渓谷社 ¥3,600.+税 2007.9.
畏友志水哲也の最新作。
峡谷の奥深くに君臨し、流域を支配する巨大な滝群がこの写真集の主人公だ。普通の人間は決して見ることを許されず、核心部に達する力のあるものだけが真の姿を記録することが出来る、それこそが幻の滝である。
収録された作品を1点ずつ仔細にみてゆく。収録された滝のいくつかへアプローチし、その核心部へ侵入するために、彼は国内でも上級から最難クラスの沢登りルートを単独で突破している。
また小さな人間の視点では巨大なスケールを表現出来ない場合には、迷わず空撮を行っている。
滝を写真で表現するために彼が費やした努力の内容と時間の質は、沢登りという表現手段を共有するものにはとりわけ強く迫ってくるものだ。一点ずつ見て行くと、その作品を撮れたときの作者の喜びが思われて、胸が熱くなってくる。
飯豊連峰の梅花皮(かいらぎ)大滝200m、奥利根・越後沢の中俣大滝200m、立山称名滝350m、黒部川・剱沢大滝134m(ただし両岸側壁500m)。
いずれも沢登りの世界では超有名なジャイアントたちである。
屋久島では幻の滝の代表格である『竜王の滝』3段110mが収録されている。2段目右岸大スラブからのアングルは、これまでほとんど知られることのなかったこの滝の姿を捉えており、画期的なものだ。貴重としかいいようがない。
滝に思いを持つ人にはぜひおすすめしたい一冊だ。
(でもこれを見て「竜王の滝に行ってみたい!」なんて考えだけは、起こさないでくださいね)
きのう9月17日の気象庁天気図です。
台湾沖の台風12号。このときは975hpの豆台風でしたが、太平洋の強大な小笠原高気圧から惜しげもなく猛烈な南東風が吹き込み、1日たらずで急成長。
現在930hpです。、「(大型ではないが)非常に強い」になってしまいました。
台風は巨大な竜巻みたいなもので、空気がどんどん巻き上がるために、一帯の気圧が下がって周辺から空気を引っぱり込む。その空気がまたこの夏の日照りで暑いため、蒸発した水蒸気ごと吹き込んで、さらに上昇力が強くなり、雲も発達する、という奈落に落ち込むようなしかけです。
この湿りきった南東風の影響で、屋久島は蒸し暑い蒸し暑い、外に出れば頭がくらくらするし、風にのって成長した積乱雲がてんでに島にぶつかってくるので、ところ構わずいきなり大雨が降るのです。
このとおり、湿度95%の風が風速10m/secで屋久島に吹きつけてます。
わが家の湿度計も・・・、お?少し下がってきたかな?
現在湿度85%。少し快適になってきました(笑)。
お知らせです。上々颱風の9/17亀有ライブ、まだ席があるそうです。
http://mandi.blog.ocn.ne.jp/shangshang/
もし東京近郊にお住まいで、連休最終日9月17日の夕方、まだ空いてる方、最近どうもな~元気ださないとな、などと思っている方、ぜひ一度シャンシャンのライブに行ってみてください。(一人でもいいけど出来たら誰かと一緒に。あれを体験した後に、きっと話す相手が欲しくなると思うので。)
http://lovepeace.org/vos/photo/04report/040707shanshan_hana1.html ←以前リンク張ったことがあったかも。写真がきれいなのでもう一度紹介。
もはや伝説となった屋久島宮之浦河畔の野外ライブ。あの熱い夜の思いが、いまだ胸にこみ上げます。都合さえつくものなら、私も1泊2日で東京に飛んでゆくはず。
いいですよ。上々颱風。おすすめです。
今年も屋久島関連の書籍がいろいろ出ているのに、なかなか紹介できずにいます。とりあえず4冊リストアップ。
『屋久島の山守 千年の仕事』高田久夫/塩野米松 草思社 ¥1,900.+税
小杉谷ににらみを効かせてきた高田さんの自叙伝。端座して聞くべき数々の話題。屋久島の国有林労働史を知る上でも重要な資料となるだろう。
『島 ひと 昔語り』 古居智子/黒飛淳 南日本新聞開発センター ¥1,238+税(=¥1300)
島内の年配者からの聞き書きをまとめた読み物。いい本だが、最近屋久島に多い、昔はすべて古きよき時代、と捉えるタイプの切り口には疑問を感じている。
『屋久島の森のすがた 「生命の島」の森林生態学』 金谷整一・吉丸博史編 文一総合出版 ¥2,500+税
一般向け著作の少なかった林学系の研究者たちが、屋久島に関する現時点の成果をまとめてくれた。面白いトピックス満載ではあるが、とにかく著者が多すぎて、仕事テーマのサンプル集、といった観もある。もしかすると編者が、関係者や仲間うちに対しておおいに気を使わされたのかもしれない。
『屋久町郷土誌 第四巻 自然・歴史・民俗』 ¥5,000.(町民¥2,500.).(税込?)
合併前になんとか間に合った最終巻。第一巻~第三巻が各集落誌で、四巻がこれ。
なにしろ20年近く前の原稿をやっとまとめたものなので、著者の中にはかなりいろいろ意見があったようである。そのまんまの章もあるようだし、現時点で修正や補遺を加えた著者もいる。
とはいえ、歴史の章や民俗の章などは、これまでにない充実した内容で、あたらしく紹介される資料・事実も数多い。この四巻は今後の屋久島学の基礎文献になるもののひとつと思われるので、内容をよく研究してから、いずれきちんと紹介します。
(第五巻の行政・社会・経済産業編は、まあ・・・いいや、という感じで見送りになったらしい・・・?)
身内に不幸があり、帰省してた北海道、残務処理もそろそろ終わった滞在最後の日、ちょっとドライブに行ってきました。
目的地は十勝の渋い観光スポットとして最近売り出し中の、上士幌町糠平(ヌカビラ)湖に残る旧国鉄士幌(シホロ)線跡の橋梁群です。
廃線の橋梁跡などいくらでもあるのに、なぜここが注目されているのかといいますと、要するにアーチ型で見栄えがするからです。
普通は「鉄橋」が使われるはずの鉄道橋梁が、なぜここだけこんなアーチ型なのかというと、なんと費用節減のためなのでした。鉄筋を使わず(!)、音更川の砂利をつかったコンクリートだけで作れるように石橋のデザインを採用したらしい。まったくなにがさいわいするか、わかりませんね。
(そういえば、せっかく歴史ある石橋を持ちながら、全部パーにした町もどこかにありましたが。)
帯広~十勝三股間を結ぶ士幌線は、はじめ糠平湖の東岸を走っていましたが、その後西岸に付け替えられました。このタウシュベツ川の橋は、東岸にかかっているもので、西側のものより古いのです。そのため表面が劣化してボロボロになっており、なんとなく古代ローマの遺跡、というような風情があります。
ダム湖のほとりでこの古い橋はなかなか味のある風景を作り出していました。
湖岸からは、私が登山を始めて3回目に登った、名峰ニペソツ山が見えていました。高校生の頃、このあたりの山に登るため、士幌線にはよく乗りました。なおこの糠平湖周辺はヒグマの多いところで・・・
橋を訪ねる際も、しっかり脅されます。
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