林野庁の迷惑看板in花山
『山の神祭り』明けの27日、久しぶりに花山の森へ登った。登山口からの一途な登りはなかなか険しいが、ミニ台風の吹き返しで爽やかな北風が吹いていて、やっと快適な登山シーズンになったなあ、と思う。
花山歩道の南側は小楊子川の深い森で、この一帯は『原生自然環境保全地域』に指定されている。登山道はその北のへりをなぞるように永田岳へと続いている。
じっくり4時間弱のアルバイトの末に「花山入口」に登りついた。台地上に広がる荘厳なヤクスギの森を心楽しく散策して、目的地の「花山広場」にたどり着く。ここはスケールの大きな花山の森のなかでも、ひときわ素晴らしい巨木の大伽藍である。
ところが、その風景のどまん中に、新しい看板がたてられていた。
林野庁の「森林生態系保護地域」看板だった。
この花山広場は、屋久島屈指の森林景観ビューポイントだと思っている。細い道と小さな指導標以外、人工物は何もなかった。ここにこんなものをわざわざ設置する理由はなんだろうか。
屋久島森林生態系保護地域は、1991年に設定された林野庁初の自発的な国有林内自然保護エリアである。単なる庁内内規なので、法律で確実に保障されたものではないが、鯛之川右岸や七五岳周辺、永田川支流のコスギダン流域、安房川下流左岸などは、このエリアに含まれることによって、めでたく林野庁の伐採を免れることが決定した。
しかしそれ以外の部分は、基本的にすでに守られていたエリアに、だぶって引かれた線引きである。花山は特にその恩恵を受けておらず、林野庁が主導的な役割を果たしたわけではない。
それなのになぜここに看板を立てたかといえば、単に目立つからだろう。
すでに原生自然環境保全法がこのエリアを守る力を発揮している。地域の自然を守るために重要なのは、ムチャな伐採をしたり工事目的の大規模林道やダムを建設せず、賢明な利用のための手入れを具体的に行うことであって、実害のない登山者にこれ見よがしなアピールをしたり、厭がらせをしたりすることではない。
白谷などでもしばしばあるのだが、必要もない看板を立てて景観を破壊されるのは迷惑である。こんなことをしているヒマと予算があるのなら、荒廃して使い道のない人工林を何とかして、理にかなった次世代の造林に心血を注ぐべきだろう。
それが出来ないのなら、林野庁の看板はもうおろしていいのではないか。
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