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2007.10.04

林野庁「緑のオーナー制」の破綻と、屋久島の『協力金』

先日破綻が報道された「緑のオーナー制」は、1984年に始まっているはずだ。ちょうど私が大学を卒業して就職したころである。鹿児島大学在学中に屋久島国有林伐採の悲惨な実態をいやというほど見せられて、巨悪というべき林野庁の存在に目もくらむような怒りを感じている頃だった。

しかし同時に林野庁の不真面目な仕事ぶりと放漫経営から、林野財政が破綻しつつあることと、それによる国有林野の荒廃が急激に現実化していることもわかっていた。杉材の値段はすでに急落を始めていた。

その矢先に、「緑のオーナー制」が打ち出されたのである。これは国有林の若いスギやヒノキ植林地などを1口50万円で国と共同所有し、10~40年後にその木の伐採で得られたの収益金を国と分け合うという一見手堅そうな公的投資商品。しかしこれが苦しまぎれの資金集めだということは、私のような学生上がりにもすぐに理解できた。

2000年頃すでにこの制度が破綻した、という報道があったと記憶しているが、このときも当然だろう、という感慨しかなかった。

だから今回の、これまでに満期になった分のほとんどが元本割れまたは落札なしという惨憺たる有様についても、当たり前だとしか思わない。

驚いたのは、このバレバレの国家的詐欺としか言いようのない制度に、500億円もの金が集まっていたということである。林野庁はこの大金を、当然すぐ全部使ってしまったので、もちろん一銭も残っていない。

わかりきった結末で、いまさらコメントする気にもならない。

しかし巨大林道工事を巡る汚職の巣であり、林野庁OBの有力な天下り先の一つでもあった「緑資源機構」の例や、花粉データの粉飾事件など、あとからあとから汚職がこぼれだしてくる林野庁、という評価もはっきりしてきた。

さて、「屋久島自然休養林」ヤクスギランドと白谷雲水峡で徴集される「環境整備協力金」は、平成17年度に4472万円もの額にのぼった。この協力金は次の年度に全額をヤクスギランドと白谷の整備に使い切ってしまうことになっている

これは、協力金はよその自然休養林等に回さず、すべてヤクスギランドと白谷に還元する、という林野庁の約束によるものだ。

しかし仕事というものは普通、このことのために予算がいくら必要か見積もる予算案がまずあり、予算額の検討・折衝があり、実際に執行されて、監査を受けるという流れで進められるはずである。

ところが、協力金というのは、そもそも予算案がない。集まったお金は一旦林野庁のふところに入り、同額は次年度にとにかく全部使い切り、監査もされない、ということになっているのだ。

その内訳は、

委託請負金(受付の人件費) 2438万円

施設整備(観察路補修、看板作成) 914万円

リーフレット、チケット印刷等 850万円

危険な枯れ木の伐採等 230万円 

・・・リーフレットやチケットの印刷になんで850万もかかるのか?

これはぜひ説明して欲しいものだが、それはおくとしても、受付の人件費2438万とリーフレット・チケット印刷費850万を合わせると3288万円になる。

つまり「協力金」を受け付ける仕事に、協力金の総額の実に73.5%を費やしていることになる。

協力金を拠出している人は、屋久島の自然のために協力しよう、と思っているのであって、決して林野に寄付しようと思ってるのではないだろう。緑のオーナー制度にしても同じことだが、この屋久島訪問者の善意の基金を、こうも金にルーズで無責任な林野庁に任せておいて、果たして大丈夫なのだろうか?

ちなみに平成18年度の協力金「収入」は4873万円だった。林野庁は、今年もまたこのお金をぜんぶ自分のところで使い切ってしまうことにしている。

500億もすぐ使ってしまう人たちの感覚で、4873万円など小遣い程度にしか考えていないとしたらとんでもない話である。これは屋久島を訪れた人々から林野庁が係としてお預かりしている貴重なお金なのだ。無駄遣いなど絶対に許されることではない。

林野庁が握って離さないなどという必要はない。屋久島全体でこのお金を自然のためにうまく生かすシステムを作るべきだ。

  

070616_2

ランドと白谷で配られるパンフ・チケット。今年度から右のシールも配っている。これらの印刷代に850万費やしているのだそうだ。

070616_3

これはシールの説明書き。要するにランドと白谷の管理が別々だったのを一本化するというだけのことである。

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◎屋久島『協力金』問題」カテゴリの記事

コメント

驚くには当たらない。旧屋久町は地方税5.8億に対し、職員人権費5.35億円。役場職員の平均年収580万円にたいし屋久町平均所得160万円である。旧上屋久もほぼ同じ。皆さんが選んだ町長と議員が決済してきたのである。
屋久島町町長選挙で、これを変革する機会が与えられている。この問題は屋久島住民の手にゆだねられている。

小川さん初めまして。コメントありがとうございます。
町の予算の場合は、職員がするべき仕事さえしてくれれば文句はないのですが、なかなかそうはいきませんね。

しかし人の善意につけこんだタカリというものは、あさましいものです。最近島内で散見するその手の○○金のたぐいは、その行為の卑しさに気がついてないだけにいっそう深刻な影響を後に遺すような気がしています。

林野の話題は、まあ前振りのつもりです。県から再びわけのわからない計画が浮上してきましたので、そちらへの対応ということで。

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