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2007年11月

2007.11.29

『協力金』問題再燃か 2

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ヤクシマオナガカエデの紅葉 (ヤクスギランド線alt.370m付近)

鹿児島県環境保護課の谷口課長補佐から連絡があり、昨日11月27日研修センターで「屋久島山岳部保全募金及びトイレ管理事業」に関する意見交換を複数名でしてきました。

いまその結果をまとめていますが、やはりかなり問題ありです。

県環境保護課の方針としては、トイレ問題は緊急課題なので、将来の本格的な管理改善事業が広く薄く求める始まるまでの暫定的なやり方として、この事業を行いたい、いろいろ不十分な点はあるが、事業のやり方については今後パブリックコメントを求めたい、ということでした。

そのやり方の原案がまったくぼろぼろといっていい状態で、こちら側も遠慮なくツッコミまくったのですが、そのなかで一番の問題点は、この人肩搬出もくだんの協力金徴収も将来の本格的な改善までの一時的な管理事業だ、とうたっていながら、将来への道筋がなにも検討されていないことでした。

つまり、暫定的にとりあえず、ということになってはいるのですが、この計画をこのまま進めるとおそらく現状のまま固定化され、本格的な将来どころかもっと悪くなった形で、各役所ごとに利権を握って離さず、屋久島全体の自然管理が硬直してしまうという事態になる危険が高いと思われます。

また、白谷とヤクスギランドの協力金については、林野庁の「既得権」だと関係機関は思っているようで、どうにも歯切れが悪い話になるようです。

しかし白谷とヤクスギランドの協力金は林野庁の既得権だなどと思っている利用者が、はたしてどれほどいるでしょうか?

環境保護課としては、関係行政機関のおよそ7割からOKをもらえればこの計画は進めてよいと考えている、とのことでした。

しかしこの話は利用者の合意こそ得るべきことであって、来島者を財源と見なしている というのなら、来島者が理解しやすい計画でなければ話になりません。これはネットやメディアを使うなどして、もっと広く論議すべきだと考えている、ということを伝えておきました。 

ひとつ付け加えておくと、現状だと協力金の徴収には、徴収自体に協力金収入の6~7割が食われます。全体が200円なのに荒川登山口だけなぜ500円なのかというと、まあ大雑把な話ではありますが、徴収人を置くために差額の300円をいただく、ということのようです。

こういう協力金、払えますか?

(この話続く)

2007.11.26

『協力金』問題再燃か

しばらく静かだった『協力金』問題ですが、動きがありました。

過日行われた屋久島山岳部利用対策協議会において、鹿児島県環境課から次のような提案があったようです。

  • 淀川、新高塚、高塚、石塚、鹿之沢、白谷の各小屋のトイレの管理財源として島内5ヶ所で「管理募金」を徴収したい。額面は下記の通り。
  • 荒川登山口: 500円
  • 白谷雲水峡・ヤクスギランド: 現行の林野庁協力金の他にそれぞれ200円
  • 環境文化村センター・屋久杉自然館: 入館料の他にそれぞれ200円

とのことです。

なんとも妙な金額の差です。

白谷とヤクスギランドの200円というのは、林野庁があくまでも現行の協力金を固持するので、林野庁が納得するようにあわせて500円としたい、ということでしょう。文化村センターと自然館の200円というのは、入館料が500円に600円とそれなりに高いので、お安くしておきますか、というところでしょうか。

徴収方法については明らかでありませんが、荒川以外は受付があるので委託しよう、荒川には徴集人を置こうということでしょうか?

ちなみに荒川縄文杉ルートの荒川登山口トイレと大株歩道トイレに関しては、管理対象に入っていません。

さて、問題点がどこにあるのか。

まず、トイレの利用者と「募金」される人がまったく違います。荒川口から縄文杉に登る人は高塚のトイレなど使わないし、ヤクスギランドを歩く人も淀川小屋のトイレなどまず使いません。

あるトイレが有料になるというのなら、そのことに対する是非の判断は別として、一応受益者負担という筋はとおっています。しかしこの案では、あるところにたまたま来た人が、他の関係ないトイレための管理費を要求されることになります。これは受益者負担ですらありません。なぜこのような案を思いつけるのか、不思議なくらいです。

トイレ利用者以外の観光客にも屋久島全体のための負担をお願いするのだ、というのであれば、だれもが通過する空港や港などで広く浅くお願いするのが筋ではないでしょうか。それなら鹿児島県の当初の案どおり、環境キップ制度を導入すべきです。

管理対象に新しく白谷山荘のトイレも入っているのが目に付きます。しかし現在このトイレはすでに林野庁が人肩搬出を行っています。この事業は潤沢な白谷+ヤクスギランド協力金でまかなっているということで筋は一応通っている。これを200円実質値上げしなければならない理由はなんなのか。

観光協会は、以前この協議会で縦割り行政の弊害を指摘し、環境キップ制度/入島税の推進をうたったはずなのですが、林野庁や鹿児島県側はまったく意に介していないのかなんなのか、前回から何の進歩もない案を出してきました。

観光協会もなめられたものですが、このときの協議会では、先の判断のとおり、このような縦割り徴収には賛成できないということで、突っぱねたもようです。

こんなことを許したら、屋久島はどこへ行っても金をむしられる、タカリの島になってしまいます。

本来国の施設は国が責任を持って管理すべきなのです。受益者負担をお願いしたいというのなら、きちんといくら必要なのかを算出し、公平で利用者の負担がなるべく少ない方法を探るのが当然です。

人の多いところでたかってまわるような鹿児島県の案はどう考えてもおかしいし、現行の「協力金」を握って離そうとしない林野庁の姿勢はもっとおかしいように思われます。

2007.11.21

白谷線の紅葉

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ヤクシマオナガカエデの紅葉。   

県道白谷雲水峡線の標高500~600m付近はいま紅葉の盛りです。暑かった10月の半ばから11月の半ばにかけて、温度が10度ほども急激に下がったためか、オナガカエデが見る見るうちに赤く色づいてきました。

といっても屋久島の中山間部に落葉樹は少なく、伐採跡や林道脇に生育したオナガカエデとヒメシャラ、エゴノキにヤマザクラくらいのものですが、地味な緑の照葉樹やスギ植林地のなか、ところどころが華やいでそれなりに秋の風情です。

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平凡な風景ではありますが。

2007.11.20

屋久島の蘚苔類チェックリスト

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『蘚苔類研究 第9巻第6号』 2007年10月pp159-197

横山勇人・山口登美夫・西村直樹・古木達郎・秋山弘之: 屋久島(鹿児島県)の蘚苔類目録.

広島大学院生の横山勇人さんを筆頭著者とする屋久島の蘚苔類チェックリストがついに完成。『蘚苔類研究』に堂々掲載されました。

蘚苔類のチェックリストとは、現在までにその地域で確認されたコケの一覧表のことで、屋久島にどんなコケが生育しているか調べるときには、絶対必要な文献です。

簡単にいうと、「このコケは図鑑で調べると○○コケみたいだけど、リストにあるかな~? ・・・むむ、載ってない。じゃあ違うんだな。」 というふうに使います。

あるいは他にそれらしいのもないし、リストに載ってるから一応これにしておこう、というようにあいまいに処理するためのアリバイとしても役に立ちます。「保留」がどんどん増えてゆくよりも精神衛生上ずっといいものです。(はい、お恥ずかしいです、老師。)

ただし、過去の文献に載っている種が本当に正しくその種かどうかは要確認のことが多く、このリストについてはこれから検討を積み重ねて行くのだ、と著者の1人西村教授はおっしゃいます。

われわれもぜひ得点にからみたいものですね。

中身はこんなんです。↓

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・・・決してこれを見れば種類がわかる、というものではないのでご注意ください。

なお屋久島のコケ愛好者用に、ということで別刷をいただきました。ご希望の方は小原までご連絡ください。

2007.11.18

それはワッシーじゃないよ

鹿児島のMBCニュースより

行方不明の女性ガイド、無事発見 [11/14 08:53]

屋久島町で、きのうから行方が分からなくなっていた33歳のガイドの女性は、きょう午前8時半すぎ、登山道付近で、無事発見されました。警察によりますと、けがや衰弱はなく、元気だということです。

とのことです。Fさんという方だそうですが、「ガイド」ということで、かなりおちょくられてしまいました。まあ案内人として看板上げているのに、山で迷っちゃうんでは仕方が無いですね。

ちなみにこの女性ガイドというのがYNACのワッシーだというガセネタが一部に出回っているそうなので、ご注意ください(笑)。

眠いので省略しますが、現代の登山技術において「山を歩ける」というのは、地形図を読んで動けるということと、ほとんど同義です。地形図を読めないのは楽譜を読めない音楽家のようなものです。

楽譜を使わない優れた音楽家が存在するように、優れた猟師は地図など使わずに山を動きますが、それはホームグラウンドに限定された膨大な経験からその付近の地形を立体的に把握できているからです。地形図を読めない登山者というものは、登山の世界では危険な素人として見なされるものです。

登山はテープを目印に歩くものだ、と思っている人がいるとしたら、それは道迷い遭難予備軍です。

2007.11.17

『日本エコツアー・ガイドブック』

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『日本エコツアー・ガイドブック』 海津ゆりえ.岩波書店,2007.10.¥1900+税

日本各地でエコツアーを作り上げてきた「人々の半生に焦点をあて、彼らの言葉をとおしてフィールドを紹介する」というねらいのガイドブック。

YNACも取り上げてもらっています。「松本社長の半生」ということですが、そうだったな~、こんなことを話し合ったり考えたりして、ひとつひとつ作ってきたな~、と、やや感慨深いものがありました。

考えてみたら島内のエコツアーメニューというのは、ほぼ全部YNACが創めたものです。縄文杉と宮之浦岳の日帰りは止めましたが。

さすが海津さん、なかなかうまく紹介してくれています。松本をご存知の方は、文中の写真を見て吹き出すかも(笑)、市川と小原も脇役で出ています。小原の淀川の写真も一枚使われています。

『海外溯行研究 台湾の谷 1963~1993』

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 『海外溯行研究 台湾の谷1963~1993』 海外溯行同人会報NO.1 ¥2500

同人設立10周年を機に、草創期から開拓初期までの台湾溯渓の記録がまとめられた。

まず台湾について説明しておきたい。

台北から高雄にかけての西海岸こそ肥沃な農地と、新竹に代表される先進工業地帯が広がっている。台湾観光といえば、とにかくグルメとショッピングのイメージだ。

しかしあまり知られていないが、台湾は一大山岳国だ。中央山岳と東部は大自然エリアといってよく、北部の南湖大山から南端の南大武山まで3000m高山が切れ目なく続き、4つの素晴らしい国立公園がおかれている。

標高1500mから2500mあたりの山腹には台湾檜と紅檜の原生林がいまなお広く残り、亜熱帯から亜寒帯へと続く植生の垂直分布は世界でも類を見ない貴重なものだ。正直いって、台湾がもし国連に加盟していたら、屋久島の世界遺産登録など問題にもならなかったのではないか? と疑念をぬぐえない(汗)。

つまり台湾は巨大な屋久島なのだ。いや台湾の超ミニ版が屋久島、というべきか。

さて、日本の山ではほぼあらゆる沢が登りつくされている。名渓とされるルートはガイドブックや山岳雑誌のグラビアで紹介されるほどだ。しかし台湾の大渓谷に関しては情報というものがほとんどない。何が出るかまったくわからない。

だが地図だけはある。現在の1/25000地形図は日本と同じなので、これを読み、そのルートの概要をつかむことで「机上登山」を楽しめる。沢屋の特権と言っていいだろう。

・・・ぞっとするような巨大さ。谷底から両サイドの尾根まで果てしない急斜面。両岸が迫りすぎて、どれほど険悪なゴルジュが隠れているのか読み取れない場所。滝また、滝その先に巨大な滝。悪場を終わったあと、壮大な稜線まで気の遠くなるような登り。

こんなところに入り込んで、果たして生きて帰れるのか? という根源的な疑問がふつふつと湧いてくる。そこに入り込むのが台湾の「溯渓」だ。

大阪わらじの会の精鋭による台湾溯渓の事始めから、エース成瀬・松原が参入するまでの台湾5岳を中心とした記録が収録されており、臨場感あふれる迫真のルポとともに、開拓の歴史を読み取ることができる。

この会報の目玉のひとつは付録のCD-ROMで、山行記録ごとの概念図、地形図と写真がまとめられている。会員の青島靖の手になる大変な労作であり、このCDがあることで会報が段違いにスケールアップした。

一般向けにおすすめできるものではないが、沢登りに惹かれている人にはぜひ手にとって貰いたいと思う。

頒布要領
冊数、送り先、届け希望日と希望時間を指定して、メールで申込んでください。送料は別です。

【申込先】メールアドレス:kaigai_2007@ares.eonet.ne.jp

※念のためアドレスの@を@に変えてあります。書き換えてから貼り付けてください。

なお小原のところに在庫があります。屋久島在住の方には送料なしでお分けしますので、ご希望の方は連絡ください。

2007.11.13

ガソリン(時価)

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屋久島最安値です(泣)。

なぜ全島のGSで「同じように」こうも高いんでしょうか?

2007.11.12

ヒメシャラの皮2

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霧のヒメシャラ。皮のはがれ落ちるパターンが面白い。・・・しかし暗すぎて(いいわけ)、ピントの深度が全然たりません(恥)。

この木は2年前の台風に押し倒されて、死んだように見えたのですが、皮が再び生き生きとはがれはじめました。まだねばるようです。

ヒメシャラは落葉樹ですので、冬の間葉っぱを落してしまい、水を吸い上げられなくなります。屋久島では冬も緑の常緑樹のすきまで、肩身の狭い時期をおくることになります。

ただ面白いことに、皮のはがれた痕がうっすらと緑色をしているのです。他にも屋久島の落葉樹には、アオツリバナ、アクシバモドキ、ヤクシマオナガカエデ、ウリハダカエデなど幹や枝が緑色をしていて、冬の間も光合成をしている(らしい)ものがあります。屋久島の常緑林のなかで、冬に葉を落さざるを得ない落葉樹のハンディを、いくらかでも取り戻しているのかもしれません。

その際に必要な水をどうしているのか・・・、根から吸い上げているのか、どこか別のところから取り込んでいるのでしょうか。

ヒメシャラは非常に硬い木で、熱伝導率が高いらしく、夏でもさわると冷たいくらいです。この木がどのように生命をつなぎ、日々暮らしているのか、実際のところ私たちは知らないことが多すぎるのです。

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飛流落し(白谷雲水峡)

2007.11.09

ヒメシャラの皮

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2007.11.08

『苔とあるく』 

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『苔とあるく』 田中美穂  WAVE出版.2007.10. 定価(本体1600円+税)

コケと遊ぶためのいい本が出ました。 (この写真では表紙の美しいサーモンピンクを現せず、申しわけありません。) 

屋久島の森で、コケっていいなあ、もうちょっとお付き合いしてみたいなあ、と少し本気で思った人には、とても役に立つ本です。おすすめです。

著者の田中美穂さんは、オカモス(岡山コケの会)会員さんで(私も会員末席です)、倉敷の古書店『蟲文庫』を経営されている方です。

・・・『蟲文庫』です。ビリッときますね。とにかく隠花植物系の血を感じるといいますか、ピンポイントでグッとくる箇所があちこちにあります。

まず見開きに、さりげなく永瀬清子の『苔について』が隠れています。

「秘密の清冽な水路があって」 「そのかすかな歓びがすこしも聴こえないけれども」 「極微のダム」 のあの詩です。( 田口ランディさんの本で目にした方はいませんか?)

それから・・・

「クマムシ」

「デリケートというよりは気難しい」

「 『小山さんゴケ』 」

「WRAYMER MICROSCOPE」

「コケボックス」

「コケを撮るなら、リコーのコンパクトデジカメが最適です。というより、これしかないのです。」

「あなたのための幕の内弁当」

って、すみません、なんのことかさっぱりわからないと思いますが、私の琴線にびりリと触れた内容の例です。 他に「サザエ丼」というのもすごいですが。

「8 遠征」 の章の最後に、初級Ⅰ:小石川植物園、初級Ⅱ:井の頭公園、中級Ⅰ:京都(苔庭群)、中級Ⅱ:江ノ島、とあり最後に、贅沢:屋久島、が収録されているのが嬉しいです。 屋久島、「贅沢」です。

青山ブックセンター本店、ジュンク堂池袋本店(←コーナー特設中)など大手新刊書店の他、中野〈タコシェ〉、経堂〈ロバロバカフェ〉、阿佐ケ谷〈ねこの隠れ処〉、仙台〈book cafe 火星の庭〉、京都〈ガケ書房〉 などのマニアックそうな本屋(?)さんなどで取り扱いされているとのことです。amazonでも買えます。ぜひ手にとって見ていただきたいと思います。

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ところで、全然関係ないのですが・・・

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私の好きな諸星大二郎先生の『栞と紙魚子』シリーズ。

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これが主人公の1人、紙魚子です。

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「あんたには古書マニアの心理がわからないのよ。」

・・・どなたか1人でもわかってくだされば幸いです。すいません。

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