『苔とあるく』
『苔とあるく』 田中美穂 WAVE出版.2007.10. 定価(本体1600円+税)
コケと遊ぶためのいい本が出ました。 (この写真では表紙の美しいサーモンピンクを現せず、申しわけありません。)
屋久島の森で、コケっていいなあ、もうちょっとお付き合いしてみたいなあ、と少し本気で思った人には、とても役に立つ本です。おすすめです。
著者の田中美穂さんは、オカモス(岡山コケの会)会員さんで(私も会員末席です)、倉敷の古書店『蟲文庫』を経営されている方です。
・・・『蟲文庫』です。ビリッときますね。とにかく隠花植物系の血を感じるといいますか、ピンポイントでグッとくる箇所があちこちにあります。
まず見開きに、さりげなく永瀬清子の『苔について』が隠れています。
「秘密の清冽な水路があって」 「そのかすかな歓びがすこしも聴こえないけれども」 「極微のダム」 のあの詩です。( 田口ランディさんの本で目にした方はいませんか?)
それから・・・
「クマムシ」
「デリケートというよりは気難しい」
「 『小山さんゴケ』 」
「WRAYMER MICROSCOPE」
「コケボックス」
「コケを撮るなら、リコーのコンパクトデジカメが最適です。というより、これしかないのです。」
「あなたのための幕の内弁当」
って、すみません、なんのことかさっぱりわからないと思いますが、私の琴線にびりリと触れた内容の例です。 他に「サザエ丼」というのもすごいですが。
「8 遠征」 の章の最後に、初級Ⅰ:小石川植物園、初級Ⅱ:井の頭公園、中級Ⅰ:京都(苔庭群)、中級Ⅱ:江ノ島、とあり最後に、贅沢:屋久島、が収録されているのが嬉しいです。 屋久島、「贅沢」です。
青山ブックセンター本店、ジュンク堂池袋本店(←コーナー特設中)など大手新刊書店の他、中野〈タコシェ〉、経堂〈ロバロバカフェ〉、阿佐ケ谷〈ねこの隠れ処〉、仙台〈book cafe 火星の庭〉、京都〈ガケ書房〉 などのマニアックそうな本屋(?)さんなどで取り扱いされているとのことです。amazonでも買えます。ぜひ手にとって見ていただきたいと思います。
ところで、全然関係ないのですが・・・
私の好きな諸星大二郎先生の『栞と紙魚子』シリーズ。
これが主人公の1人、紙魚子です。
「あんたには古書マニアの心理がわからないのよ。」
・・・どなたか1人でもわかってくだされば幸いです。すいません。
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コメント
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お・・・この本が出てきましたね・・読めなかった・・・(のだめにもっていかれた人)。なっとく(笑)。このシリーズは世界観がなんかAmaizingな感じでした。で、苔の本。結構、いい本ですよね。初心者向きなので、1冊持っていてもいいかなと思いました。
緑だった苔玉を白くさせたことがある人より。
投稿: はなだい | 2007.11.09 00:01
面白そう!買わねば!!
amazonで注文しようかと思いましたが、明日池袋に行く予定があるので、ジュンク堂に行ってみます。
「特設コーナー」との言葉に誘われて♪
投稿: 苔樹 | 2007.11.10 22:56
田中美穂さんにはいちどお会いしましたが,紙魚子さん田中美穂さんにそっくりですね!メガネとおさげが。しかも古書マニア。びっくりしました。ただ田中さんはこんなきつい表情はしてませんけどね。
投稿: 彦根正人 | 2011.05.04 20:56
彦根正人様
わかってくださった方、初めてです。う、嬉しい。
紙魚子はきついのではなく、確信を持って毅然としてるので、あんな顔なのです。
投稿: mossforester3 | 2011.05.05 20:46