福島から屋久島へ 海を渡るアサギマダラ
10月21日、屋久島西部林道にいたアサギマダラ。同行していたSさんが、翅になにか書き込みらしきものがあるのを発見。疲れているのか逃げようともせず、そっと捕まえてみました。
「デコ 8/18 SRS 7790」とあります。これは今年の「8月18日」に「デコ」という略号の場所で「SRS」を略号とする人がこのチョウを捕まえて、その旨マーキングしてから放した、というしるしです。通しナンバーが「7790」頭めですから、これまでにもの凄い数の標識を行っている人だということがわかります。
このチョウは、南は台湾から北は函館付近までのかなりの距離を、初夏に北上、秋に南下することがマーキング個体の最捕獲によって確認されています。いったいどこから飛んできたのでしょう。
「アサギネット」という情報交換掲示板サイトのあることがわかり、早速調べてみました。すると驚いたことに、このチョウは屋久島から1200kmも離れた福島県北塩原村、いわゆる裏磐梯のグランデコスキー場で栗田昌裕さんが放ったものだということがわかりました。小原の報告はこのサイトの 2)【2008年秋のSRS関連のアサギマダラの移動際捕獲の時系列リスト】に記録されています。
グランデコ発の、秋の最捕獲の報告は、群馬⇒長野⇒愛知⇒三重⇒和歌山⇒高知という順に移動してゆきます。渡りはおおむねこの日本南岸ルートが多いようです。今年は屋久島を越え、1400km近く離れた喜界島でこのシリーズのチョウが確認されました。昨年はさらに遠く、なんと与那国島まで到達した個体が確認されています。
Sさんも私もアサギマダラの標識最捕獲は初めての経験でしたが、まったく恐るべきチョウがいたものです。来年の初夏には、こんどは北上する個体が発見できるでしょうか?
« 静かな縄文杉 2008.10.22-23 | トップページ | コハウチワカエデの紅葉 »
「屋久島のようす(自然史)」カテゴリの記事
- ヤクタネゴヨウの新産地発見!(2015.09.23)
- シカの食圧を考えるために、宮島に行ってみたい(2014.03.18)
- 環天頂アーク 2012.5.4.(2012.05.23)
- アリに化ける~アリグモ(2012.05.20)
- 屋久島の人面岩(2012.05.12)
おひさしぶりです!
今、宿泊中の東京のホテルでこれを書いています。あまりにもタイムリー(?)な話題にちょっとびっくり!でコメントを残させていただきます。
実は明日福島(小名浜)へ向けて出発し数日過ごした後、屋久島へ帰ります。その蝶々が旅したと同じ距離を人間の私達は電車や飛行機を使って移動するのだなあ、と考えたらとても感慨深いものがあります。自然とはなんと力強く神秘的であることでしょう。
素敵な記事をありがとうございました。
投稿: Chu-Hi@CV | 2008.11.04 07:18
Chu-Hi@CV さん
お久しぶりです。小名浜ということは、『アクアマリンふくしま』ですね。サンマがおもしろそう。
屋久島にはいつまで滞在されますか?お目にかかれるといいのですが。
アサギマダラの渡りの最長不倒距離は、おととし2006年の蔵王~与那国島間2246キロだそうです。台湾まで到達した個体もおそらくいたでしょうね。
マダラチョウの仲間はいろいろすごいものがいて、北アメリカを縦断してメキシコで大集団越冬するオオカバマダラなんて世界的に有名な種です。メキシコシティーの近くにはこのオオカバマダラ越冬のための広さが56000haもある保護区があるそうです。屋久島より広いという(笑)。
投稿: モスフォ3 | 2008.11.07 12:05