« どこでしょう? | トップページ | 読売新聞 宮沢記者の「屋久島の入山規制」記事について2 »

2009.06.24

読売新聞 宮沢記者の「屋久島の入山規制」記事について

「観光客増、荒れる世界遺産…屋久島に11年度から入山制限 」

というタイトルのYOMIURI ONLINE(読売新聞)6月20日付記事が島内外で物議をかもしている。

読売新聞地方部 宮沢輝夫記者の署名記事で、記事の前半はよくあるプレス発表風、中間に外部の事例や専門家の見解をはさみ、後半は宮沢記者自身のルポのようなスタイルをとっている。

島内各機関が島内の一部地域で入山制限を検討しているのは事実だが、率直に言って、前半はすっぱ抜きを狙った勇み足+事実誤認、後半はかなり思い込みの強い文章と評せざるを得ない。

各紙の動向を見ていたが、この時点で同様の記事を載せた新聞などは他にない模様だ。

ただ5月5日に朝日の鹿児島版にも、須藤大輔、鈴木彩子両記者の署名で似たような論調の記事が載っている。こちらの方が表現がえげつない。

ネットの記事はいずれ削除されてしまう可能性が高いので、以下に読売の全文を引用する。

環境省と鹿児島県屋久島町は、観光客の急増で環境破壊が進む世界遺産の屋久島で、2011年度から初めての入山制限に踏み切る方針を固めた。

 昨年4月に施行されたエコツーリズム推進法の初適用を目指す。自然公園法とは異なり、地元市町村が立ち入り制限区域を指定できるのが特長で、違反者には30万円以下の罰金が科される。

 屋久島は、推定樹齢7200年ともされる縄文杉や地表を覆うコケなどの自然美や生態系が評価され、1993年、白神山地(青森、秋田)とともに国内初の世界遺産に登録された。

 登録をきっかけに入山者が急増。08年には10万9000人に上り、休日の入山者は1000人前後に達することも珍しくない。特に、し尿の現地埋め立て処分が限界にきている。

 04年、環境省からエコツーリズムのモデル地区に指定された。町、環境省、国有林を管理する林野庁などでエコツー推進協議会を発足させ、ガイド制度や過剰利用対策を議論している。

 今後、1日あたりの入山可能人数などを含めた全体構想を定め、関係省庁の認定を受ける。上限を300人程度にする意見が町などから出ており、日高十七郎(となお)・屋久島町長は「世界遺産を守るのは我々の責務」と強調する。

 屋久島のほかには、沖縄・慶良間(けらま)地域がサンゴ礁保護のため、エコツー推進協で立ち入り制限を検討している。また、自然公園法に基づき、吉野熊野国立公園の一部で入山制限がある。

 国立公園協会(東京)の鹿野久男理事長の話「入山者のマナー徹底や、ガイド同伴を入山の条件にする制度も同時に実現させれば、モデルケースになり得る」

 ◆エコツーリズム推進法=過剰利用地域の立ち入りを制限して観光資源の保護を図ることで、ブランド力を高め、観光振興との両立を目指す。環境保護意識の高まりを受け、議員立法で成立。罰則もついた。屋久島は霧島屋久国立公園の一部だが、国立・国定公園以外でも適用できる。

 ◆木の根・コケ踏まれ、トイレ足りず◆

 樹齢1000年超の屋久杉が茂り、霧に煙る神秘的な島。そんな屋久島のイメージは、激増する観光客のし尿や踏み荒らしのため崩壊寸前だ。

 今月9日午前5時半。小雨降る平日にもかかわらず、登山道の発着点にある荒川口のトイレには、10人の女性の列ができていた。片道11キロに及ぶ縄文杉への登山道にトイレは3か所しかない。登山道を外れて用を足す人が後を絶たない。

 5キロほど先には、ログハウス風のバイオトイレがあるが、「メンテナンス中」の札が下がっていた。男女兼用で、数も2基しかない。大型連休中に利用量が限界を超え、おがくずによるし尿の分解ができなくなり、1か月過ぎても復旧できずにいた。

 植生荒廃も危機的だ。一部に木道もあるが1人分の幅しか確保できないため、観光客はすれ違う際に道をはみ出して歩く。削られた地表に雨水が流れ込み登山道の幅が広がったり浸食されたりする悪循環が続く。

 ようやく到着した縄文杉は、木製デッキの上からしか見物できない。観光客による踏み荒らしで根っこが露出し、遺産登録から3年たった1996年に設置されたが、カメラを手にした人でごった返していた。

 「大きな木の裏でするんだよ」。縄文杉を過ぎて約50メートル辺りで、男性ガイドが女性客3人にトイレットペーパーを手渡していた。3人は、進入禁止のロープをくぐって木の根やコケを踏みながら、原生林に消えた。

 環境省は今季、携帯トイレの普及に取り組んでおり、大型連休中に縄文杉ルートで試験実施もした。ガイドも承知のはずだが、「やむを得ない」とあきらめ顔だった。(地方部 宮沢輝夫)

(2009年6月20日14時41分 読売新聞)

« どこでしょう? | トップページ | 読売新聞 宮沢記者の「屋久島の入山規制」記事について2 »

ニュース」カテゴリの記事

エコツーリズムの動き」カテゴリの記事

山岳トイレ問題」カテゴリの記事

コメント

・トイレ問題は入山料をとって、そのお金を使って処理をすることで解決
・ガイド必須なんかにしたら気楽に楽しみたい山好きは来なくなる。今だって林野庁の職員とかが多くて雰囲気壊しているのに。
・そもそもトロッコ道に踏み板なんかつけて歩きやすくして人を呼び込んでおきながら今度は制限とはおかしい。
・世界遺産にしたら海外からも来る。わざわざ来た人を断るのは失礼。
・宮之浦岳は関係ないはず。縄文杉を経由しないルートにまで制限をかけるのはとんでもない。
・山は国民のもの。行政のものじゃない。本州の山は誰でも自由に登れる。屋久島もそうあるべき。
・エコツーリズム法は余計なお世話。観光にまで政府が口を出すのはおかしい。政府の仕事は警察とか医療保険とか、限られた分野にすべき。

屋久島の場合、登山が観光のオプションと思われているところが他の地方と少し異なるところかもしれません。
縄文杉に来るみなさんも、普通の自然観光地へ行く人と少し違った層のような気もします。屋久島に来る人が、どのような人たちなのか?ということを調べた研究などは、まだないはずです。

この記事へのコメントは終了しました。

« どこでしょう? | トップページ | 読売新聞 宮沢記者の「屋久島の入山規制」記事について2 »

フォト

Twitter

リンク集

無料ブログはココログ