« 2009年6月 | トップページ | 2009年8月 »
屋久島世界遺産地域科学委員会が2009年6月28日に発足している。
発足している、と書いたのは、正直仕事が忙しくて時間がなかったからだ。またこれに先立って27日には『「屋久島世界遺産」研究フォーラム~屋久島の価値と科学の役割~』が開催されているが、これにも出席できなかった。ただその日の午後、メンバーや関係行政機関の人たちが大勢で西部を歩いているのとはすれ違った。
九大の矢原さんが電光石火で科学委員会ホームページを作成されており、情報は逐次公開されるようだ。サブページに会議の資料などもすべて添付され、行政関係の仮死サイトなどとはさすがに違いを見せている。
科学委員会の顔触れは、なんとなく偏っているような気がするが、会議の資料を見ると、検討の方向性などは今のところまっとうなものである。
ただ、この会議に先立って例の読売の記事が出たところはどうもくさい気がする。
また7月16日の朝日新聞夕刊に、これまた例の須藤大輔記者の記事「img603082917.pdf」をダウンロード が掲載された。(黒さんありがとうございます。この記事は横向きになっているので、表示を左に回転させてご覧ください)
ここには、携帯トイレの導入と入山制限が、すでに既成事実であるかのように書かれている。その上「縄文杉まで300人、その上は80に限ろうという案も出ている」などとある。
このような具体的な数字は正式にはどこにもないはずだが、誰がどこに出した案だというのだろう? どこかの公務員の私見かなにかだろうか?
いずれにせよ、すべて公開された場で、科学委員会のメンバーのような顔ぶれが科学的に話し合えば、それほど間違った方針は出ないと期待する。おかしな感情論ではなく、地域の健全な発展につながる指針を作成してもらいたいものである。
大雪山系トムラウシ山と美瑛岳で大遭難が起きた。今のところ地元北海道新聞の記事のシリーズが丁寧でわかりやすい。当日の行動記録は毎日新聞のこの記事が詳しい。これら十勝の北国境稜線は、高校時代に繰り返し縦走した思い出深い山々なので、他人事とは思えない。
トムラウシの事故は屋久島にもよく来ているアミューズトラベルのツアーである。死亡8名+ヘリ救出5名、自力下山5名ということで、一団体がほとんど全滅という事態はただ事ではない。
ガイドのはしくれとして察するに、ガイドが苦しむのは、なんらかの事情があってグループの人心を掌握できないとき、そして行動を決定する権限を持たされていないときである。
権限を持たされていなければリーダーシップを発揮できず、事態の変化に対応することができない。どんなばあいでも責任と権限は一体になっている必要がある。
逆に言うと、ガイドが安全の確保という責任を最優先するためには、上層部はガイドの権限を制限してはならないのだ。完全に任せなければならない。だからこそガイドのスキルが重要なのである。
これは屋久島の同業者としても他人事ではない。
会社とガイド陣の責任は免れないだろうが、現在のところ不可解なことが多すぎる。これからの検証を待つ。
恒例になった屋久島高校2年生の職場体験授業。今年は「インターンシップ」と名称が変わり、7月7~9日の3日間行われました。(去年の分はブログに記事がありません。私は担当しなかったのだったかな?)
今年はT君が実習生です。8日、小原担当の沢登りツアーに同行してもらいました。これは救助ロープの仕込まれたスローバッグで溺れている人を救助する訓練です。バッグを投げる練習をした後、実際に救助をしてみます。溺れ訳はヒルマ研修生。
一発で成功。そのままがんがん引き寄せます。
う~ん、あまりうまくいきすぎて、実習にならないか。
まあこんな感じで3日間を、YNACスタッフやゲストのみなさんと行動を共にして、屋久島の自然観光の現場を体験してもらいました。
この期間、島内のいろいろな事業所でかいがいしく働く高校生を目ににされた方も多かったのではないでしょうか。
写真家の桑田瑞穂さんから写真展のお知らせが届きました。
屋久島の森を歩く。桑田瑞穂写真展
横浜 山手エリスマン邸 2009.7.6(月)‐7.12(日)
10:00-17:30 最終日 16:00まで
水曜休館
これはちょっと寄ってみたい。でも無理だなあ。お近くの方、もしお時間ありましたらぜひお出かけください。
桑田さんとは、屋久島の取材で御一緒したことがあります。エーゲ海の写真や、JALのSKYWARDの表紙でもとても有名です。
ホームページに出てくるサントリーニ島、まさにエーゲ海の青。⇐美しいですよ。ぜひご覧ください。
以下余談ですが、この美しいサントリーニの島々は、長径10キロほどのカルデラ火山です。桑田さんの写真でも、島々の断崖に、火山の地層がはっきりと見えています。
この火山は紀元前1600年ころに巨大な噴火を起こし、当時南のクレタ島で栄えていたミノア青銅文明を壊滅させ、この大惨事がアトランティス伝説の元になったらしいということでも有名です。
屋久島の北にある鬼界カルデラよりも小ぶりですが、同じカルデラの巨大噴火にやられた屋久島としてはなんとなく親近感があります。
竹島と薩摩硫黄島は、サントリーニ島はカルデラ火山の跡かた。また屋久島とクレタ島も噴火で壊滅した同士なので、それぞれ姉妹島のようなものか。
ふたたびカルデラ噴火など起きたら、まさにこの世の終わりですが、実は指宿の阿多南カルデラが、いつ噴火してもおかしくないらしい。
・・・してほしくないなあ。
川原北谷、ウォータ―ボルダリングのトラバース課題。YNACスタッフはこれをクリアできないとつとまりません。研修生ヒルマがいまこの難関に挑戦!
あ~、だめだ。出だしから少しで敢えなく墜落。でも落ちても笑ってすむのがウォーターボルダーのいいところです。
もう一度
お、今度はホールドに手が伸びています。次の足が出るか・・・
ありゃー。惜しい、スリップです。
これは悔しい。さあ、精神的に追い込まれてきました。
ラスト・トライ。お、今度は足がでています。手もいいところをとらえている。重心をコントロールできてるぞ。
いけるかっ? 頑張れっ!
やった、やりました! ヒルマ研修生、難関を突破です。ギャラリーから拍手が起こっています。
これでまた一段高みへとのぼりましたね。
このような看板が全島に建てられました。4ヶ国語表示が、鹿児島県の「観光立県」の方針だそうです。
ずいぶん細かいところまで立ててあります。いままで英語表記すらなかったところが多いので、それ自体は前向きで悪いことではありません。
でも、こういうものの公共デザインって、変わらないなあ。左の島内地図と写真の部分など、なんとかならないものでしょうか。惜しむらくは、こういうものの機能を理解しているデザイナ―に頼んで欲しかった。
それから「MOCCYOMU岳(中国語)」って、どうなんでしょう。「本富岳」という漢字表記でいいのでは。万代杉もフォーマットどおりだからって、同じ文字で2つも書く必要があるのかな。
ガイド業者としましては、この手の島内の公共の看板などで、他にもいろいろネタにさせていただいてるブツは結構あります。
有名なのが「花山歩道」。“HANAYAMA SIDEWALK”になってます。サイドウォーク。鹿之沢小屋まで舗装道路が続いているかのような、響きです。
それからヤクスギランドの英語表記が“YAKUSUGIRANDO”になってるのも、よく知られてます。これはちょっとマレー語的な展開だな。
ほかにも三代杉の“THIRD GENERATION CEDER”とか、面白いのがいろいろあります。でも担当者に教えてやると、だいたい 「これこれで、間違いではないですから」 というような言い訳をされます。
そうじゃなくて、世界遺産屋久島を訪れて、これを見た人が何を感じると思う? という問題なんですけどね。
最近のコメント