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2009.10.20

黒味岳の花 2009.10.16. ~シカと暮す植物たち

Sennburi

センブリ。「湯の中で千度振ってもまだ苦い」そうで千振。有名な健胃生薬です。普通20~30cmくらいになる野の花とのことですが、屋久島高地のものはとても小さく、せいぜい3~4cm程度です。左の黒っぽいコケはたぶんヤマトフデゴケ、右はスゲの仲間。 

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ハナヤマツルリンドウ。30年ほど前に、蒴果(ぱかっと割れて種が出てくるタイプの実)をつけることで新種だと確認された、屋久島固有種。ふつうのツルリンドウは花の色がもっと濃く、赤いジューシーな液果を付けるのです。ツルリンドウは解熱や咳止めに用いられる生薬です。 

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イッスンキンカ。草たけは2~3cmという小ささ。ところがこれと極めて近いといいますか、ほとんど同じ種類が本州などにあるアキノキリンソウで、こちらは草たけが50cmに及びます。 

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キッコウハグマ。これは固有種ではありませんが、モミジハグマ類の中では極めて小型で、屋久島ではあちこちで見かけます。葉は亀甲型の六角形が基本ですが、卵型とかもみじ型などやたらに変化します。

なお「ハグマ(白熊)」とはヤクのシッポの毛だとのこと。保温性を高めるためでしょう、フワフワ立体的で、大名行列の槍のふさ飾りとか、歌舞伎の「鏡獅子」のかつら(?)とかの用途のため、古くから日本に輸入されたようです。 

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ヤクシマアザミ。固有種です。アザミと言えばトゲですが、この種はおそらく日本国内で最もトゲトゲしい種だと思います。 

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これは別のところで撮った若い葉です。おそるべきトゲトゲっぷりをご覧ください。こんなものに間違えて手をついた日には・・・

屋久島の植物は常にシカに食べられる可能性(食圧)の中で生きています。シカを抑える天敵はいないので、抵抗しなければ食いつくされてしまうことになります。したがって今屋久島に生育する植物は基本的にすべてシカ対策に成功していると考えることができます。

特にこのヤクシマアザミは、国内最強クラスのシカ食圧と戦うなかで進化してきた、あるいは生き残ってきた固有種です。

またイッスンキンカやセンブリなど「屋久島高地の矮性植物」といわれる奇妙に小型になった一群の植物は、島外の大型のものと遺伝的にはほとんど差がないといわれており、シカに食われにくい小型サイズのものが選択されてきたと考えることができます。

さらにアオツリバナ、アクシバモドキなどの固有種や準固有種で、生育場所がほとんど岩上か樹上着生に限られるものも多く、これもシカに食われないという条件をクリアしていることになります。

つまり屋久島の固有種の成立には、シカの貢献が大きい、と考えられると思うのですが、どうでしょう。

(シカがあの苦いセンブリを食うのか?といわれるとちょっと自信がないのですが。どなたか専門家の方がコメントしてくれないでしょうか。ディスカッションしてみたいな~。)

     

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