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2010.03.07

「世界遺産出島」とツンベリー(ツンベルグ)

長崎の出島が世界遺産登録地の候補に挙がっているらしい。それも日本政府ではなく、スウェーデン政府の推挙だという。リンネと、その高弟ツンベリー(ツンベルグ)の業績を、分類学上重要な史跡とともに歴史的・知的遺産として遺したいという趣旨だそうだ。さすがスウェーデン、見識が高い。

ツンベリーはスウェーデンの名門ウプサラ大学でリンネに医学と分類学を学んだ。出島がエントリーされた理由は、彼がリンネの勧めもあって医師として長崎へ赴き1775~76年に滞在したためだ。

この一年半程の間に、800種以上の植物を採集し、その標本を基に「フロラ・ヤポニカ(日本植物誌)」を書いた。これが、東アジアの植物分類としては最初の決定版である。

日本の植物ではたとえば、サザンカの学名がCamellia sasanqua Thunb.で、この"Thunb."が名付け親ツンベリーの略である。公園の種名板などあったら、ぜひ確かめてみてください。

なおリンネは医学者にして生物分類学の始祖。二名法(いわゆる学名)を発案し、属名と種小名ですべての生物を系統的に表記出来るようにして、生物の分類の基礎を確立した、人類史上、掛け値なしの偉人の一人だ。

われわれ生き物にかかわる者は、すべてリンネから恩恵を受けている。2007年がリンネ生誕300年祭で、スウェーデンは大いに盛り上がったそうなので、今回の推挙もその勢いがあるのかもしれない。

実は私の鹿児島大学の卒論の対象の一つがウミトラノオSargassum thunbergii (Mertens ex Roth) Kuntzeという褐藻で、学名はサルガッスム・ツンベルギーと読む。

この学名には、偉大なツンベリーを記念してマルテンがその名をこの海藻の新種に与えたのだが、正式に発表しなかったかなにかで結局ロスが代わりにこれを発表した、で、後にクンツェがこの種の特徴を調べなおして、ホンダワラ属(サルガッスム)に移した、という意味がある。詳しくはわからないけれども、名前一つにも、いろいろドラマがあるのである。

というわけで、ツンベリーさんの名は学生のころから、とてもなじみ深かったので、ちょっと嬉しかったわけです。ちなみにその他のツンベリーゆかりの地としては、新聞記事等には全然書かれていないが、喜望峰がある。これは間違いなくエントリーされているはずだ。

こういう世界遺産もありうるのだなあ、と感心した次第。でも各国が同じように偉人の足跡を政界遺産に推薦し出したら、けっこう大変なことになるかもしれませんね。

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