2010.5.23 白谷雲水峡で落枝事故!被害はなかったが…
2010.5.23 10:28 YNACの白谷ツアーでのこと。さつき吊橋付近でヒルマが解説していたところ、突然上空から何かがハイノキの中木層に落ち、さらに5mほど離れた歩道上に激しく落ちてきました。
折れて2つになったうちの一本は、ごらんのとおり直径20cm、長さ1m弱の朽ち枝で、20kg以上あります。
どうも20mほど上の木から落ちてきたらしい。写真上やや左に突き出た木です。
折れたもう一方はこれ。ごらんのとおりコケ、シダ、ラン、などが分厚くついており、昨夜の豪雨でたっぷり水を含んで重くなったものと見えます。
登山道を直撃したことの意味は深刻です。20m上空から20kgの枝が5m横に落ちてきたわけですから、誰か死傷しても不思議ではありませんでした。
実際にそのような事故が各地で起きており、さまざまな判例があります。→こちらのサイトにまとめられています。
台風の後に落ちていた枯れ枝などを別として、屋久島の山中で風のないときに、私が(山中行動はかなり多く、行動範囲も広い)このような唐突な落木や落枝を目撃したのは、1989年から現在までの間に今回を含めて3回のみです。したがってかなりまれな事例だとは思います。
一方、屋久島では朽ちた木や枝は、台風などの嵐の風で落とされるものです。そしてここ数年の間、強い台風はほとんど屋久島に来ていません。したがって、何かの拍子に落ちる可能性のある朽ち枝などが、ある程度の数は上空に残っていると予想できます。
ここ何年か、管理者である林野庁が枯れ木の処理をしているようですので、危険を認識してはいるのでしょう。「協力金」を徴収している以上、責任は逃れられません。
現実的に、白谷雲水峡の利用者の多くは、遊歩道の散策に危険があるなどとはほとんど思いもしていないでしょう。私も三本足杉下の枯れたモミの木などは、処理した方がいいのではないかと思っています。かと言って、屋久島の自然林の中で、枯れ木をことごとく切り倒すという「管理」が適切かどうか。バランスと判断の難しいところです。
ガイド会社としてリスク管理の面からこのことをどう考えたらよいものか。重大な宿題を抱え込むことになりました。
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コメント
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こういう問題は難しいですね。屋久島の場合、うっそうとした森や着生の著しい樹木が人気なだけに、上から落ちてくることを危険視して伐採が進むと、景観に直結します。
なお、役所が手を加えた(手を加えてなくとも所有や管理権が明白な)遊歩道や登山標識は、国家賠償法第2条による無過失責任が官庁にあるため、官庁側に過失がなくても国民に被害の求償を求める権利が当然にあります(争いにはなりますが)。入場料とか取っていなくても・・・
ただ、それ以前に入山者の装備はちゃんとしてほしいものです。年々ひどくなっています。ガイドにとって登山者はお客様ですが、自然にとって登山者はお客様でもなんでもありません。
投稿: 海猫の黒 | 2010.05.28 23:52
奥入瀬の裁判のときは、管理責任だけが争点になったようですね。目の前で大落枝を見てしまうと、あれに当たってしまったのか…と思います。
白谷は屋久島ツアーオペレーション社のバスツアーが利用し始めた頃から、客層が大きく変化しているようです。
ヤクスギランドのバスツアーは全部舗装遊歩道(サイドウォーク)部分だけを歩くからいいのですが、白谷は山道の浸食が進んでいるようですね。
投稿: mosfo3 | 2010.05.29 09:28
コケ中心の女性的な景観?の白谷と、スギ中心の豪快な男性的な景観のヤクスギランド、いつのまにか白谷のほうが有料入場者数?が多くなったのには驚きました。ヤクスギランドは遊園地と勘違いされているのか?でも今となっては勘違いのままでいい気もします。勉強しない人は来ないでしょうから・・・
人それぞれですが、私はヤクスギランドが好きです。いろんな観光・登山層に応じて入れますし、地形的にも奥が深い。
白谷は入場者?の感情移入も多く、かつ、そもそも荒れやすいのであまり多く入るのは不適切な気もします。
注:なお既婚者にはどうでもいいですが、客層?から見て、ナンパするなら白谷でしょうね(o^-^o)。
投稿: 海猫の黒 | 2010.05.29 10:32
いやー、自然経験のなかった若い人が、きっかけはどうあれ自然の中を歩いてみたいと思うことは重要ですよ。
だからこそ、「癒し」だの「コダマ」だのといった値の下がったキーワードで、安易に分かったような気分になって終わらせてほしくないと思います。
投稿: mosfo3 | 2010.05.29 12:54
そうですね。きっかけはなんでもOK・・・で、実際にやってきて見て、今度はきっかけを超えてほしいですね。
投稿: 海猫の黒 | 2010.05.30 23:38