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見本版が届きました。新しいワンコイン地図です。この版も小原が監修しました。
2010年版に比べてまず違うのは、植生帯の標高分布を色分けしたところ。
0~ 200m 亜熱帯移行林
200~ 700m 照葉樹林下部
700~1200m 照葉樹林+スギ林=針広混交林
1200~1700m スギ林+ブナ林要素
1700~1936m 山地灌木林~ヤクザサ草原
となります。屋久島の場合、それほどくっきり分かれるものではありませんが、目安として。
次に登山道の精度が増しています。実際の読図に加えて、環境省屋久島自然保護管事務所のご協力により、GPSデータを全面的に採用し、ルート上の細かな読図まで可能になりました。
そのほか、登山コースタイムの修正。言うまでもないことですが、コースタイムというのは人によって同じということはなく、「正確なコースタイム」というものはあり得ません。
ここに表示した数字は、ネイチャーガイドオフィスまなつの真津昭夫さんとYNAC小原とで全面的に見直して検討し、「無理なく自然を楽しんだり観察したりしながら余裕をもって歩くとしたら、どのくらいの数字を目安とするの適当か」という視点で決めたものです。
ですから休憩時間を入れてなのか、純粋に歩行時間だけなのか、といった話はあまり意味がありませんので、ご承知ください。
あとは、花山歩道の「本当の」大石展望台の位置を記し、永田歩道の岳の辻広場の位置を修正、高塚尾根の平石岩屋が「投石岩屋」になってしまっていたのを修正(恥ずかしー!)。
といったところです。
今回から好日山荘の全店舗で販売されるそうです。どうぞご利用ください。¥500です。
「屋久島」 大沢成二写真集 青青社 1,600円
屋久島での3年半から生まれた珠玉の写真集。
3年半という、屋久島全体をまんべんなく見守り続けた時間が、これだけのものを生み出しました。収録された作品のいずれもが、撮影が完成するまでにどれほどの時間を必要としたことでしょうか。
雨に濡れ、つややかに光るヒメシャラの枝に、寒そうにふくらんで止まるズアカアオバト。鰭条(きじょう)を美しく緊張させた青いトビウオのスーパーショット。
雪の縄文杉や白谷雲水峡の、もうそこしかない、という場所に現れてくれた雌ジカ。
サクラの花をぱくつくサルの、春の健康な食欲。
世界中で屋久島の山のわずかな岩場にしか存在しないヤクシマリンドウの絢爛とした咲きっぷり!
ことさらに厳しかった雪の頂上に、毅然とたちあらわれた雄ジカ。
屋久島というフィールドを共有する者として、この写真集には深い共感を覚えます。
そういえば、一世を風靡したあの「ウィルソン株のハート」は、大沢さんが発見したものです。
誰もが見ていたはずなのに見ていなかったあのハート。細やかにまんべんなくすべてのものを見出そうとした、写真家ならではの眼力というべきでしょう。裏表紙に使われています。
写真集としては小さい本なので、もっと大きな版形で、もっとたくさんの作品を見たかったなあ・・・という思いはあります。でも、ちょうどプレゼントしたくなるサイズですね。
昨日、宮之浦の環境文化センターで、「ヒトメクリ」Arbor出版主催の、出版記念パーティーが行われました。
美味しい手作り料理が盛りだくさん! 写真集の出版とお子さんの誕生を祝う、和やかな会でした。
そうそう、本日からその文化村センターで、大沢成二写真展が開かれています。連休に屋久島へお越しの方は、ぜひお立ちり寄りください。
【思いつき】
屋久島で、分解型トイレのコンペってできないでしょうか。
人間、生きている以上、食べること、出すこと、寝ることは必須です。
登山・自然利用地域はもちろん、今回の震災で、被災地のトイレ問題が深刻です。無駄なエネルギーを使わずに、出したものをうまく分解する技術が求められています。
世界最高峰の企業群に呼び掛けて、小杉谷に新世代エコトイレ展示場を作ってみたらどうでしょう。
林野庁が、広い旧小杉谷事業所周辺の一角の土地を提供する。
環境省が国内外の環境系の企業に働きかけて、少なくとも10社くらいに参入してもらい、建設費と、1年間限定の運転費を負担してもらう。広告は各企業に自由にやってもらう。
実際の管理は、島内外の企業なりNPOなり、ボランティアなりが担当する。
トロッコ道沿いは、電気を引いているので、(雷で停電しやすいという条件込みですが)電気使用の部と、不使用の部に分ける。
縄文杉に行く年間十万人のひとびとがギャラリーですから、不足はないはずです。人気投票してもらっても面白いでしょう。
1年間の成果を見て、成績の良いものを、順次島内や、国内の自然地域、被災地などに採用してゆく。
さらに世界の難民キャンプなどにもキットを準備して、役立ててもらう。
世界遺産らしいクールなやり方だと思いません?
淀川小屋の携帯トイレブース。ふた部屋。
花之江河のブースもできているらしい。見てません。
翁岳分岐のブース。ここに置いたかー。
新高塚小屋。浸透式トイレ2室に携帯トイレブースを併設。無意味だと思います。意見交換会でも再三指摘されたとおり、 トイレを3室にすべきでした。
新高塚小屋は、トイレの建設のため、一大工事現場と化しています。コンクリート用ハンドミキサー、小型のユンボ2台、建設資材、コンテナ、作業員用の仮小屋。
ヘリの運搬力は凄いものです。カートリッジ搬出型トイレにする選択肢もあったはずなのですが、無視されましたね。
同じく新高塚小屋のコンテナとベニヤの仮小屋(ブルーシートの下)。これはGWの混雑期に小屋をあけておくための配慮でしょう。
ともあれ、これで新高塚小屋のトイレの状況はかなり改善されることになりました。
しかし、山で用を足して何が悪いんですかね。非難がましく携帯トイレで持ち帰れなどと。北海道の高山帯ならともかく。
まあ、花之江河等で、補助的に携帯トイレを使用することは、あってもいいでしょう。
しかし、屋久島の森林帯の、水分も温度も十分な場所で、分解可能なことを見極めて、きちんと用をたすことを学んでもらうのも、国立公園にして世界遺産屋久島の重要な役割だと思います。
肝心なのは、現場で的確な判断を下す管理者の能力と、それを納得させるだけの説得力です。責任と権限を一元化し、まともな司令塔を機能させることが、今の屋久島には必要です。烏合の衆とはいいませんが、船頭多くして船山に上るという現状はあまりにもなさけない。しかもしれぞれの船頭がそのことを恥ずかしいと思っていない点もだめですね。
4月17日の西部林道にて。大きなガジュマルの下で休憩していたところ、誰かがこのメタリックグリーンにピカピカしたきれいな虫を見つけました。
接写してみると、黄色い胸の部分に横一文字に黒い点が並んでいます。オキナワイチモンジハムシです。ハムシは葉虫。いろんな葉を食べる甲虫のグループです。
帰宅して調べてみると、この虫の幼虫はガジュマルなどの葉を食い荒らす大害虫。おりもおり、西部の会の出発を見送りに来てくれていた友人のタクオさんが、「今ガジュマルの害虫がひどくて、中間のガジュマルの危機的状況だよ」と教えてくれたところでした。
この西部のガジュマルを始め、平野(ひらの)など屋久島内の大きなガジュマルが葉を落として元気がないことに気づいてはいたのですが、特定できていなかった。
屋久島のガジュマルはこのオキナワイチモンジハムシの大発生で、けっこう予断を許さない状況になってきたらしい。
すでに島内では樹木関係者がガジュマルに殺虫剤散布作業をを始めているそうです。
住宅地で殺虫剤の大量散布というのもすさまじいですが、シンボル的な名ガジュマルは、多少の無理はしても守りたいと思う人が多いでしょう。
でもこの世界遺産西部照葉樹林内で殺虫剤散布は・・・無理でしょうね。
しばらく中断していた屋久島自然クラブ。
今年から復活します。第一回目は「西部照葉樹林」。半山地区に残された海岸古道をトレースしました。
このルートは今はだれも通らないのですが、戦後からしばらくの間、この半山地区と永田の間の唯一の道でした。
しっかり道が残っていたのですが、ここ何年かの間にすこし薄れてきたようです。こういう地域の生活や産業文化の遺跡や痕跡は、消えると跡形もなくなってしまいます。
雨上がりの爆発的な新緑が始まった照葉樹林の緑のバラエティの美しいこと!この季節の西部は最高ですね! 春を宣言する「クロバイ」のクリーム色の木立がちらりほらりと見えています。
海岸の岩の上で、写真を撮ってると、向うの方で気がついたステキなメンバー4人が人文字を作ってくれました!読めますか?
そうそう、「三岳」も美味いが、「大自然林」最高の芋焼酎ですよ。
来月は蛇之口滝に行きます。くわしくは自然クラブのブログをご覧ください。
ところで。
西部の利用については、エコツーリズム推進協議会で議論を続けています。
ここはむやみに人が立ち入ると、動物に悪影響が出てしまう可能性があるので、われわれガイド側から、ガイドツアーは一つのエリアあたり一日24名という大幅な人数制限を提案していますが、ちょうガジュマルの写真の人数です。
このくらいの人数が分散して、ガイドのコントロールされながら、静かに自然を楽しむ。というスタイルが、西部のエコツアーになってゆくでしょう。
4月15日、屋久島はやっと春らしい「木の芽流し」に恵まれました。
ものすごい雷付きでしたが。
竜巻注意報もでました。強い雷雲や積乱雲の下にはだいたい竜巻が生まれているものなのです。私、本当に見たことがあります。積乱雲の下に竜のしっぽがたれてるのを。本当です。本当なんです!
あたたかい雨が降ったと思ったら、即屋内にオオムカデが侵入してきました。これ咬まれるとヤバいんです。死にはしませんが。
これからは気をつけないとなあ。布団の中、風呂場の服の中、靴の中。
日本エコツアー協会JESの「グッドエコツアー」2011年度でYNACの「沢登り」と「屋久杉の森と歴史を巡る」の2ツアーが推奨されました。YNAC樫村撮影のいい写真使ってます!
好評の「屋久島ワンコイン地図」国際地図発行¥500.の2011年版がの編集が終わりました。もうすぐ発行なので、どうぞお楽しみに。
今回は環境省の協力をいただいて、全登山道のGPSデータを実際の地形とくわしく照合したうえで使用して、登山道のルートラインをより正確なものにしました。
その中で、ひとつささやかながら驚きの発見がありました。
国土地理院2.5万図では、太忠岳の標高が1497mとされています。
ところが太忠岳には頂上が二つあります。あの天柱石と、その西の天柱石の背中を眺めるピークです。天柱石の頂点の方が高いので、それをもって太忠岳1947mだろうなあと、首をかしげながらいちおう考えていたのです。
修正作業で、環境省屋久島自然保護管事務所から提供してもらった太忠岳登山道のGPSデータを、カシミールで地図に描いて見ました。
すると、赤いトレースデータが、1497mピークではなく、その北東の一角をぐるりと一回りしています。これは、天柱石のお参り一周ルートを現しています。
また一周ルートの南東のところに赤ラインがたまっており、しばらく休憩した形跡が読み取れます。これが天柱石台座に違いありません。
1497mピークから見ると、天柱石の方が明らかに10mほど高く見えます。
したがって、太忠岳の最高点である天柱石の標高は、1500mを超えていることになります。1505mとか、そのくらいになるのでしょうか。
太忠岳と天柱石の名前の関係についてはこちらを。
ワンコイン地図はこのほかにも、等高線の色分け表記や、地名のローマ字表記、コースタイムの改訂など、さまざまな面で進化しています。
なお2011年度版から、屋久島各所のほか、全国の好日山荘の各店舗でも販売されることになりました。どうぞチェックしてください。
NAOさんから11日夜にいただいたコメントです。屋久島の高塚尾根は、まだてこずりそうです。
昨日(10日)、白谷雲水峡から入山して新高塚小屋に宿泊。今日、焼野を経由して永田岳・宮之浦岳に登って淀川に下山しました。
特に第二展望台から平石岩屋直下までの積雪が多く、大変苦慮しました。
何度かこのルートを通った方でないと、全く見当がつかないと思います。トレースも通る方が少ないこと、日中気温が高いことから溶けて不明瞭になるため絶対視してはいけないと思います。このルートを安全に通るには、最低でもあと半月は必要と思われます。
また、淀川コースについても所々雪渓やスノーブリッジがあり、残雪期の登山経験がある方か、現地を熟知したガイドさんと同行する必要がありそう。
いや〜、想像以上に過酷でした。
投稿: NAO | 2011.04.11 21:21
天気はいいのですが、雪を融かすはずの春の雨がさっぱり降らないうえ、気温が上がら、ないので雪がなかなか消えません。そのうえ4月に入ってからも登山者数が少ないので、雪が踏み融かされもしないのです。
雪山としては技術的に困難ではないのですが、文中にあるように、先行パーティーの足跡も、日中の気温の緩みで不明瞭になってあてにならず、ルート探しも意外と難しい。
雪がブッシュごと固まって登山道を埋めていることが多く、少し融け始めていたりすると、今度はびしょぬれのどろどろになり、非常にやっかいです。
NAOさんは「あと半月は必要」とのことですが、もしこのまま気温が低いままだと、連休の登山も影響を受けるかもしれません。
昨日今日で永田岳~鹿之沢~花山にYNACの樫村パーティーが入山してますので、連絡取れ次第、報告します。
4月5-6日、白谷~縄文杉へ行ってきました。
このコースは快適。気温は8~10℃くらいで、やや肌寒い程度。
太鼓岩からの風景は冬のままで、新緑はこれからだし、ヤマザクラも全く咲いておらず、拍子抜け。例年4月上旬は絶好の花見シーズンなのですが、今年は1週間くらい遅れるのかもしれません。
宮之浦岳から新高塚小屋経由で降りて来た人に聞くと、やはり焼野~新高塚間の積雪が多く、登山道が判然とせず、テープをたよりになんとかルートを探した、とのことでした。
もう1人は、新高塚から宮之浦岳を目指したが、雪が多くて諦めて引き返してきた、とのこと。
さらにもう1人、アイスハンマーをザックにつけた渓流シューズの人が降りて来たので、沢ですか?と尋ねると、安房川北沢右股を登ったんですが、雪渓が多くて怖かった、とのことでした。
この状況では沢はそうだろうなあ。でもこれはけっこう「できる人」の話ですので、誤解のありませんよう。
例年になく、雪が多い、ということになるのでしょう。
しかし考えてみたら、3月~4月上旬の春休みシーズンって、昔はそれが普通でしたね。雪でルートが分かりにくいのが3月でした。
それをこなせる人しか山には入らなかったし。
今年は雪が少ない、というようになって、それが続くようになり、いつの間にか3月は山に行ってもいい季節だ、と思われるように変化してきたんですね。
白谷川の新緑がはじまっています。雲水峡はまだこれからですが、林道沿いが美しい!
オナガカエデやエゴノキなど落葉樹の明るい若葉が先行してましたが、いまスダシイが標高400mくらいまで渋めの黄緑褐色になりました。
スダシイは一目でわかります。
林道沿いはヤマザクラが咲き始め、花見OKです。志戸子にならんで、小杉谷と白谷が桜の名所になりましたね。
このところ、サルの群れがサクラの花をせっせと食べています。
高塚・鹿之沢では相変わらず雪の状態が悪く、一般登山は無理です。ガイドの友人や、縦走を試みた人からの情報を集めてみました。
「新高塚までは雪があるが行ける。その上はかなり条件が悪い」
「新高塚~焼野あたりまで無理して突破したが、大変な苦労した」
「淀川~宮之浦岳は積雪問題ない。登山可能」
と、こんな感じのようです。今年の雪は積雪と融解をくりかえし、性質の悪い硬さになっています。
ふつう3月末~4月始めであれば、残雪が残っていてもキックステップにストックで十分なのですが、今年はややあぶない雪渓歩きがあるようです。アイゼンとピッケルが必要でしょう。
気温が上がり、登山道につまった厄介な雪が消えるまで、要注意です。
鹿之沢の融雪はもう少し遅れる可能性もあります。
私は4月5~6日に縦走する予定ですが、条件はやや微妙なところ。
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