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2011.05.28

「やぶこぎグレード」メモ

クライミングや沢登りでは、そのルートのむずかしさや、要求される技術の高さを示す、「グレーディング」が行われている。自分やメンバーの登攀力と比べながら、ルートを選ぶための目安として使われる。

沢登りでも、難しいルートになると、命とグレードをてんびんにかけて、慎重に計画を考える必要がでてくるので、おろそかにできない。

これに対して、「やぶこぎグレード」というものがある。なんとなく世をすねた香りもあるが(笑)、実際に経験してみるとなかなか納得のゆく、かつ味わい深い世界の感じられるもので、私はこれけっこう好きである。

このやぶこぎグレードを最初に世に送り出したのは、不世出のやぶこぎクライマー、細貝栄氏らしい。(『限りなき山行』)。

Ⅰ級:自然に出来た踏み跡で歩きやすい。

Ⅱ級:両手を使い始める。

Ⅲ級:本格的なヤブ。

Ⅳ級:非常にきつく、ヤブをこぐ気力を失うようなところ。

Ⅴ級:自分が過去に体験した中で最もひどい部類のヤブで、その中に入ると身動きできなくなるようなところ。

Ⅵ級:自分がいまだかつて体験したこともないような猛烈なヤブ。

実感のこもる言葉だが、かなり主観的なもので、やや判別がしにくい。特にⅥ級など、そんなやぶが実在するのかしないのか、想像もつかない。

これに対して群馬で用いられているというグレーディングシステムは比較的わかりやすい。(これは実際の著作にあたっておらず、昔なにかで聞いたものなので、もしなにか間違いがあったらすみません。)

『群馬の山歩き130選』の藪漕ぎグレード

1級:腰から胸までの薮で、周囲の見通しは良好、楽しむ感じ。

2級:普通の薮。手でかきわけて進める。見通しも悪くなく、不安はほとんど感じられない。行く手も良く見渡せる。

3級:手だけでは漕げず、足の力も借りないとかきわけられない。手足に傷が出来うっとうしさを感じる。

4級:前方視界2、3m。グループで行っても頼れるのは自分だけ、顔にも傷が出来、疲労と不安が交互に来る。大幅なタイムロスが気になり出す。

5級:足は地に着くが、力関係は薮の方が強い。焦りが頭を駆めぐり、傷の痛さも忘れてしまっている。山登りに来てしまった事を後悔する。

6級:手足とも地に着かず、樹中でもがくだけ、時速50mの世界で、目の前は真っ暗。完全なパニック状態。

実際にやぶこぎ登山をしたことのある人なら、「あのルートは2級と3級の間くらいかな」などと、自分なりにグレーディングは可能だろう。さじ加減の必要な時は、2級上、3級下のようにいう。

このシステムで、屋久島の代表的なやぶこぎルートをグレーディングしたらどうなるだろうか。

楠川前岳~愛子岳:2級

国割岳、羽神岳の各尾根:2級

尾之間三山(モッチョム岳~耳岳~割石岳):3級

障子尾根(坪切岳~大障子岳~永田岳):4級

ジンネム高盤岳東尾根:5級

といった感じだろうか(異見求めます)。ジンネム東尾根は遠い昔行ったことがあるのみだが、頑健なシャクナゲの密やぶにサルトリイバラのトゲのつるがからむ、サルやシカも近づきたくなさそうなところだった。あそこは二度と行きたくない(笑)。

また、沢の源頭などの場合、これに巨岩が絡んだりしてまた違った困難さが生じるし、これに鋭いトゲのヤブイバラのつるがからむと、ほとんど行動不能になる。この手のやぶは花之江河のまわりに一部見られるけれども、6級ということになるのだろうか?

屋久島では、1993年の台風13号以後、それまでとやぶの様相が劇的に変わってしまった。だからそれ以前のやぶこぎルートや、沢登りの大高巻きなどの古い記録などは、そのまま参考にはならない。

また、もちろん実際の登山では、地形や気候、ルートファインディングの難しさ、天候など、さまざまなファクターはあるので、このグレードだけがルートの難易度をしめすものではありません。念のため。

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沢登り MCC」カテゴリの記事

コメント

こんばんわ。やぶこぎ検定2級のゆかです。(笑)
よんでいて、思わずふきだしてしまいました。
4級から5級のあたり、、、「山登りに来たことを後悔してしまう」ってところで。(笑)
足は地に着くが、力関係は藪のほうが強いとは。。。恐ろしい。5級の藪には行きたくないものです。

群馬のグレードは、心理要素をも含んでいるところが味わい深いですね(笑)。
しかし一般に国内のグレードには「トゲ」という要素が薄いように思います。南下するほどトゲの障害が新たなチェックポイントとして入り込んでくるのかもしれません。

キイチゴ類、ウラジロ、屋久島のサルトリイバラ、ヤブイバラ、西之表のツルアダン、台湾以南のラタン(つる性のヤシ)など、南のものほど激トゲのような気がします。

これは良い。震度階級や風力階級みたいで、群馬版はユーモアもあって分かりやすいです。

ちょっとニュアンス違いますが、
「人に伝えにくい痛さ具合を表すため、「ハナゲ」を国際単位として登録申請しよう」という冗談記事を思い出しました。
(1hanage = 鼻毛1本を抜く時の痛さ)
これは私も気に入っており、たま~に使います。

訂正です。

記憶が怪しいので改めて調べてみましたが、正しい定義は次の内容です。
「1hanage = 長さ1センチの鼻毛を鉛直方向に1ニュートンの力で引っ張り抜いたときに感じる痛み」

そうそう、ニフティのパソコン通信「嘘情報」会議室が出所でした。

1センチの鼻毛って、バカボンパパ級では…

むー。車の交通量が激しいところで生活していると、まれに切り漏れたヤツが1cm位伸びている事がありますが、屋久島ではありえないですか。
そういえば、私は鼻が敏感で、福岡に居たときは鼻水鼻詰りに年中悩まされていたのですが、屋久島に移住して症状が治まったと思ったら、GW明けにちょっと里帰りしてみたとたんにくずりだし、屋久島の空気の清涼さに改めて思い知らされた次第であります。

ところで、ちょっとPRです。
執筆で食っていく気は毛頭ありませんが、ひょんな事で全国誌デビューを果たしました。

イカロス出版『廃村をゆく』(5月23日発売)

64~65ページの小杉谷・石塚集落跡の写真提供(マイHPと同じ写真です)&本文監修と協力者あとがきに登場しています。
購入して頂ければ幸いですが、税込1600円とちょっと高めなので、大きな本屋で見かけましたらお目通し方よろしくお願いします。(鹿児島中央駅のアミュプラザでは10冊程売り場に出されていました。)

『廃村を行く』ですか。在籍した中学校や父の勤務先が廃校になったところを見ましたが、きっと同じ感覚なんだろうなあ。本、読みたいですね。

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