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2011.11.04

入島料が抱える意味について

荒木耕治新屋久島町長が、縄文杉の利用制限の凍結と、入島料の新たな導入を語ったと、新聞各社が報道した。

屋久島町環境政策課が作った、縄文杉ルートの利用を1日最大600人~420人にする、という内容を含む「エコツーリズム推進全体構想素案」を、町議会が否決し、それをうけて、選挙を経たうえでの発言だろう。

縄文杉の利用調整の否定は、エコツーリズム法に基づく初の地域導入を目指した環境省のメンツを大きく損なわせるものともなり、なにかと話題になっている。

しかし、入島料問題のほうが根深いものを抱えている。

かつて、林野庁がヤクスギランドと白谷雲水峡で取り始めた「協力金」に、われわれは反対した。
監査を必要としない「協力金」などを安易に徴収することを許すと、これはあちこちに広がって、どこでも金を取ろうとしだすことになりかねないからだ。

屋久島のあちことで、だれもがてんでに金を取りだしたら、島への訪問者から屋久島がどう見えるようになるか、考えるまでもないだろう。

協力金や募金(めんどうなので「協力金類」とする)は「私金」である。公的な金ではない。だから監査もされないし、公平な入札の必要もなく、どう使われようと、チェックするシステムはない。

加えて協力金の悪いところは、徴収率を上げるために、徴収人を使うことになり安い点だ。ただ協力金箱を置いておくより、人が面と向かって「金をください」と要求した方が、当然断りにくい。それで徴収率が上がる。

問題のひとつは徴収人の人件費が、その協力金から支払われることだ。林野庁が事実上握っているヤクスギランド・白谷の協力金はほぼ2/3が人件費に費やされている。それぞれの徴収にそれぞれ人を使っているので、人件費は膨大なものになる。

屋久島訪問者の屋久島保全への意思をムダに垂れ流しているとしか言いようがない。

だから林野庁の真似をして鹿児島県が「ではうちは縄文杉と宮之浦岳で金を取ろうかな」と言い出した時は、全力でそれに反対した。

結局それは環境保全募金となって実現した。ただこの募金は、将来登山設備全般にわたって運用する財源とする、という道筋を屋久島町の環境政策課が示したので、これには賛同した。

しかし、いま縄文杉から降りてくると、荒川登山口でこの募金の係員が、大声で金を要求してくる。この連中は何を勘違いしているのか、登山者からのこらず金を取るのが自分たちの使命だと思っているらしい。言わんこっちゃないのである。

しかもその時に使うシャトルバスのチケット代には、また別の協力金が強制的に含まれている。

荒川林道の入り口にゲートがあって、係員が常駐している。あれは「協力金」を払えば通してやる、というもので、実質的な有料道路化だ。しかし協力金など法的な裏付けのない任意のものにすぎない。払わなければここは通さない、というのは、山賊の言い分に近い。

こういった「協力金」のたぐいは、財政難を理由に、関係行政機関その他の合意を元に、寄り合い所帯の協議会単位で行われている。したがって責任の所在はあいまいなままに、ちゃちな利権だけが発生してしまう。

いまとなっては手遅れの感もあるが、かつての環境キップや入島税には、このような協力金類の乱立を防止し、一律に屋久島入島者に利用コストを負担してもらい、島が責任を持ってその管理運用にあたる、というアイディアがあったはずなのだ。

だから、新町長の「入島料」というのは、屋久島の各地のたかりのような協力金類を一掃し、すっきりした世界遺産の管理体制を再構築するいい機会だと思う。

鍵は屋久島町にある。なぜなら乱立する協議会の類はそのほとんどが名目上でもなんでも屋久島町が事務局権をもち、町長の指導力を発揮できる可能性が高いからだ。

財政難にあえぐ(そういう意識が島民全体に足りないのだと思うが)屋久島は、島としての自然と文化をすべて含んだ現状と、世界遺産というブランドを本(もと)に、観光を柱とした地域つくりをしてゆく必要がある。

今の屋久島観光は、島外資本にいいようにされる旧態然とした業態と、妙に自意識ばかりが先に立つ地域ナショナリズムとが2極に分かれてそれぞれ主張を強め、うまく機能していないように思える。

何よりも欠けているのは、島への訪問客から、屋久島がどう見えたかという目線、そして正確な評価ではないだろうか。これをていねいに集め、それに基づいて、将来ビジョンをすこしずつ明らかにしてゆくしかないだろう。

 

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コメント

この記述は屋久島の行政の問題点を的確に簡素に指摘している。この指摘の原因と対策をおこなえば、屋久島の行政政策と観光政策が明確になると思われます。
今後とも活動の健闘を期待しています。

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