ルール、マナー、ガイドラインについて
“ルール=規則、マナー=作法、ガイドライン=指針 (広辞苑)”
3月に行われた今年度の屋久島ガイド登録の第一回講習の際、屋久島町環境政策課の担当者から、「ルール・マナー」を決めたい、という発言があり、その素案のようなものを配られた。
あまりにも唐突な話だったので、まずその「ルール」と「マナー」の定義について質問したのだが、担当者は答えられなかった。そこでルールとマナーは全く違うものであることを話したが、同様の講習会が日時を替えて何回か行われており、それらでどのような話がされたのかはわからない。
このように、ルール、マナー、ガイドライン、全部意味が違うのに、なぜか屋久島では、ひとからげにして使おうとするケースが多いので困ることが多い。
ルールは規則であり、罰則が伴うこともある。明快な強制力を持つ法律や条例などの根拠を必要とする。
これに対してマナーは、作法、あるいは行儀のことで、ある行動や動作などの中で関わったり対面しりする相手に不快感を与えないための配慮だ。
屋久島の山岳部利用や観光に際してしばしば出てくる言葉だが、どうもおかしな使われ方をしていることが多い。気に入らない者に対して、なにかを強制しようとするときに使われるような、いやーなニュアンスを含んでいることが多いのだ。
こういう際の言葉の使い方は、いい加減であってはならない。誤解や恣意的な解釈を防ぐため、誰が見ても誤解しようのない、明快な意味が必要だ。
屋久島で自然の利用法の共通認識を作るには、自然公園法や森林法などのルールをはっきりさせた上で、慣例などは吟味して整理し、ガイドラインとするのが適当だと思う。つまりある目的を達成するために設けられる「指針」ないしは「基本方針」である。
なにか判断のしにくい問題が想定されるとき、基本的にはこれでいこう、実際の現場では経験則を活用してケースバイケースで判断しよう、というやり方がそれだ。
ルールはよく内容を確認のうえ、ガバナンスの意味で順守しよう、それ以外の行動はガイドラインによっておたがいうまく判断しよう。
それでいいではないか。
自然公園法や、森林法などのルールにも、不透明な部分や、おかしな慣例に流されているところはある。それはきちんと議論して解釈の幅を確認しておけばいい。
階段をどちらが先に登るのか下るのか、休憩場所が混雑する場合はどうすればいいか、他のお客さんに対して、ガイドはどういう態度をとるのがいいのか。意外とやっかいな現実的な問題をさばく、その指針がガイドラインである。
ルールでないことは、ガイドラインとして合意しておく。これにそって各自が判断する。他者の判断は基本的に尊重する。
「マナー」は作法であり配慮である。これをしなかったからといって、非難される必要はない。判断の幅があることを、マナーに反しているなどといって、一方的に非難されるなど、不愉快以外のなんでもないではないか。
フィールドをより良く利用するためにガイドラインを決めておく。
自然の中で必要なのは、自由に行動することの重要性を知ることだ。誰からもつまらないことを強制など断じてされたくない。
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