シカの食圧を考えるために、宮島に行ってみたい
宮島は面白そうだ。
神域として古来シカが保護されたため個体群が多く、独特の植生になっているようだが、それがどうも屋久島に非常によく似ている。特に矮小化した植物群があるという話が興味深い。
屋久島のもっとも貴重な植物に、高地矮生植物群がある。なぜ小さくなるのか。昔から様々な説があったものの、シカの食圧により小型化がすすむという進化圧が働いている可能性が高い。 つまり、シカは植物に食害を与える動物ではなく、屋久島の植物に食圧を与えて固有の進化を促し種の多様性をもたらしてきた「環境」なのだ。
念のため断わっておくと、シカによる農作物被害問題と、シカの生態系なかでの行動とは、まったくの別問題である。これを混同して感情まじりにシカを撲滅すべきだという論調になるケースがあるが、屋久島の自然に悪影響を与えかねない危険な考えかたではないだろうか。
むしろシカが狩猟によって大きくその数を減らしたこの50年間は、本来あまねく働くべきシカの食圧が大いに低減してしまった、異常な時代かもしれないのだ。シカ不在中に繁茂した植物をどう考えるべきなのか。 いやむしろ、本来の姿など、どこにもないのかもしれず、自然はダイナミックにその姿を変動させながら大きなうねりとして安定している、ととらえるべきなのだろう。
この宮島のサイトには複数の著者がいるようで、矮小化の原因は不明とする部分と、シカの食圧により小型化したと明記する部分とが混ざっている。これもまた、様々な見解による混乱の現れなのかもしれない。いずれにしてもぜひ見にゆきたい場所の一つだ。 佐渡と宮島は、おそらく屋久島を知るためのカギになる。
« コケフォレー2014春 in 屋久島 | トップページ | 平成25年 縄文杉登山者数(3月~11月) »
「屋久島のようす(自然史)」カテゴリの記事
- ヤクタネゴヨウの新産地発見!(2015.09.23)
- シカの食圧を考えるために、宮島に行ってみたい(2014.03.18)
- 環天頂アーク 2012.5.4.(2012.05.23)
- アリに化ける~アリグモ(2012.05.20)
- 屋久島の人面岩(2012.05.12)
この記事へのコメントは終了しました。
コメント