環境省屋久島自然保護官の松永さんから、屋久島ガイド各位あてに、新高塚小屋トイレ完成の連絡メールが届きました。以下に要点を紹介します。
「…2010年度に環境省が着工した新高塚小屋の土壌処理方式のトイレが、この度完成いたしました。」
「すでに、供用開始されて いる宮之浦岳ルートの携帯トイレブースと併せ、本日7月1日より供用を開始いたしました…」
「本トイレは、雨水を利用した簡易水洗式トイレです。」
「トイレ裏の雨どいや雨水パイプの受け口に、大量の落ち葉等が詰まり、集水に支障が生じること も考えられます。・・・そのような事態が確認されたときは、…除去を行っていただけると幸いです。」
「本トイレの処理能力は合計50人程度/日(1人3回利用/日)と想定しています。ゴールデンウィークや夏季等の利用集中期には、処理能力を上回る利用が予想され、汚水があふれ出たり、悪臭や故障が発生する可能性があります。」
「新高塚小屋において、上記処理能力を上回る宿泊利用が見られる際は、携帯トイレのご利用にご協力ください。」
「本トイレにトイレットペーパー以外のものを流すと、故障や処理機能低下の原因となります」
「足踏みポンプによる簡易水洗式ですが、大量に水を流すと土壌処理機能が低下
します。流すのは1回に限るようにご指導ください。」
「12月中旬から3月中旬までの冬季は、積雪による雨どいの破損防止と、ポンプ
及び配管の凍結破損防止のため、閉鎖いたします。ご注意ください。」
「新高塚トイレの詳細については、下記HPに近日中にUP予定です。ご参照く
ださい。http://www.env.go.jp/park/kirishima/ 」
「環境省九州地方環境事務所 屋久島自然保護官事務所 自然保護官 松永 曉道」
とのことです。やっと完成です!環境省の皆さんお疲れさまでした。ありがとうございました。大切に使います。
見本版が届きました。新しいワンコイン地図です。この版も小原が監修しました。
2010年版に比べてまず違うのは、植生帯の標高分布を色分けしたところ。
0~ 200m 亜熱帯移行林
200~ 700m 照葉樹林下部
700~1200m 照葉樹林+スギ林=針広混交林
1200~1700m スギ林+ブナ林要素
1700~1936m 山地灌木林~ヤクザサ草原
となります。屋久島の場合、それほどくっきり分かれるものではありませんが、目安として。
次に登山道の精度が増しています。実際の読図に加えて、環境省屋久島自然保護管事務所のご協力により、GPSデータを全面的に採用し、ルート上の細かな読図まで可能になりました。
そのほか、登山コースタイムの修正。言うまでもないことですが、コースタイムというのは人によって同じということはなく、「正確なコースタイム」というものはあり得ません。
ここに表示した数字は、ネイチャーガイドオフィスまなつの真津昭夫さんとYNAC小原とで全面的に見直して検討し、「無理なく自然を楽しんだり観察したりしながら余裕をもって歩くとしたら、どのくらいの数字を目安とするの適当か」という視点で決めたものです。
ですから休憩時間を入れてなのか、純粋に歩行時間だけなのか、といった話はあまり意味がありませんので、ご承知ください。
あとは、花山歩道の「本当の」大石展望台の位置を記し、永田歩道の岳の辻広場の位置を修正、高塚尾根の平石岩屋が「投石岩屋」になってしまっていたのを修正(恥ずかしー!)。
といったところです。
今回から好日山荘の全店舗で販売されるそうです。どうぞご利用ください。¥500です。
好評の「屋久島ワンコイン地図」国際地図発行¥500.の2011年版がの編集が終わりました。もうすぐ発行なので、どうぞお楽しみに。
今回は環境省の協力をいただいて、全登山道のGPSデータを実際の地形とくわしく照合したうえで使用して、登山道のルートラインをより正確なものにしました。
その中で、ひとつささやかながら驚きの発見がありました。
国土地理院2.5万図では、太忠岳の標高が1497mとされています。
ところが太忠岳には頂上が二つあります。あの天柱石と、その西の天柱石の背中を眺めるピークです。天柱石の頂点の方が高いので、それをもって太忠岳1947mだろうなあと、首をかしげながらいちおう考えていたのです。
修正作業で、環境省屋久島自然保護管事務所から提供してもらった太忠岳登山道のGPSデータを、カシミールで地図に描いて見ました。
すると、赤いトレースデータが、1497mピークではなく、その北東の一角をぐるりと一回りしています。これは、天柱石のお参り一周ルートを現しています。
また一周ルートの南東のところに赤ラインがたまっており、しばらく休憩した形跡が読み取れます。これが天柱石台座に違いありません。
1497mピークから見ると、天柱石の方が明らかに10mほど高く見えます。
したがって、太忠岳の最高点である天柱石の標高は、1500mを超えていることになります。1505mとか、そのくらいになるのでしょうか。
太忠岳と天柱石の名前の関係についてはこちらを。
ワンコイン地図はこのほかにも、等高線の色分け表記や、地名のローマ字表記、コースタイムの改訂など、さまざまな面で進化しています。
なお2011年度版から、屋久島各所のほか、全国の好日山荘の各店舗でも販売されることになりました。どうぞチェックしてください。
NAOさんから11日夜にいただいたコメントです。屋久島の高塚尾根は、まだてこずりそうです。
昨日(10日)、白谷雲水峡から入山して新高塚小屋に宿泊。今日、焼野を経由して永田岳・宮之浦岳に登って淀川に下山しました。
特に第二展望台から平石岩屋直下までの積雪が多く、大変苦慮しました。
何度かこのルートを通った方でないと、全く見当がつかないと思います。トレースも通る方が少ないこと、日中気温が高いことから溶けて不明瞭になるため絶対視してはいけないと思います。このルートを安全に通るには、最低でもあと半月は必要と思われます。
また、淀川コースについても所々雪渓やスノーブリッジがあり、残雪期の登山経験がある方か、現地を熟知したガイドさんと同行する必要がありそう。
いや〜、想像以上に過酷でした。
投稿: NAO | 2011.04.11 21:21
天気はいいのですが、雪を融かすはずの春の雨がさっぱり降らないうえ、気温が上がら、ないので雪がなかなか消えません。そのうえ4月に入ってからも登山者数が少ないので、雪が踏み融かされもしないのです。
雪山としては技術的に困難ではないのですが、文中にあるように、先行パーティーの足跡も、日中の気温の緩みで不明瞭になってあてにならず、ルート探しも意外と難しい。
雪がブッシュごと固まって登山道を埋めていることが多く、少し融け始めていたりすると、今度はびしょぬれのどろどろになり、非常にやっかいです。
NAOさんは「あと半月は必要」とのことですが、もしこのまま気温が低いままだと、連休の登山も影響を受けるかもしれません。
昨日今日で永田岳~鹿之沢~花山にYNACの樫村パーティーが入山してますので、連絡取れ次第、報告します。
渡辺剣真さんからの情報が、観光協会より送られてきました。以下引用。
最新登山情報3 月18 日、縄文杉ルートの状況です。
近日中の寒波の影響で、翁杉辺りより木道の溝に雪が押し固められ、氷になっている為、通常のシューズ等ではツルツルと滑りやすい状況が縄文デッキまで続いていました。滑り止め対策等が必要です。
午後になりますと午前中の天気のせいもあり、積もっていた雪が結構解けてきていました。デッキ上の測定気温 5度
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3 月20 日、白谷雲水峡~太鼓岩の状況です。ルート上すべての雪はありません。
※注意点:苔むす森、またはもののけのといった方面を目指される方が多いのですが、辻の岩屋、または目的エリアから外れている人を非常に多く発見 しました。この日に出くわした遭難未遂組5~10組弱。
個人でいかれる方は、地図や備えをしっかりとしご計画をきちんと立ててください。・また、日帰りによるお昼過ぎに白谷~縄文を目指される方は、戻りが真っ暗になります。真っ暗闇のトレイルは日中と比べますと非常に迷いやすい事 が予想されます。特に軽装の方は、沢山の方が心配しますので、ご計画のご変更を心がけ安全なご旅行を行ってください。
情報提供:GUIDE OFFICE 屋久島(渡邉 剣真)
とのこと。縄文杉など、標高の高いところでは、積雪が融けて凍ってを繰り返し、タチの悪い雪渓状になってます。キックステップが効きにくく、トレースもつきにくいので、道迷いが起こりやすいようです。
縄文杉は標高1300m。気温は宮城県の平地と同じくらいです。この時期はまだ気温が低く、日帰りのつもりで道迷いなど起こすと、深刻な事態になります。
雨続きです。雪はこの雨でだいぶ融けるとは思いますが、まだ観光登山シーズンではありません。
屋久島観光協会から、登山道情報が届きました。以下にそのまま転載します。
最新登山情報:平成22年2月25日
それぞれ縄文杉、太忠岳、竜神杉、花之江河の登山情報です。
どの箇所もゆるんだ積雪により現在は非常に上りにくくなっています。
また、3日以降は再度寒波が予想されますので、状況はまた変わると思われます。
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2 月25 日の縄文杉登山道の情報です。
トロッコ道は、9 割以上雪がありませんが、2 か所ほど、終点近くで覆われてい
る部分があります。よけて歩く場合左側の谷に落ちないように気を付けてください。
また、翁杉周辺より登山道に雪があります。所々溶けだしていますので、足が埋
まったり、登山道外の道を歩き滑ったり転んだりしている人が多々見受 けられ
ました。
情報提供:GUIDE OFFICE 屋久島(渡邉 剣真)
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2 月25 日の太忠岳登山道の情報です。
ようやく晴れたので太忠岳に行きましたが、頂上へ行くのをやめました。その時
の状況をお知らせします。
自然遺産の表示板の上の大岩まで登山道には積雪なし
結論として、ある高さから(1300m近く?)30cm以上の積雪があるのと
雪質がいわゆるザラメ状であり、ズボズボ靴が埋まってしまい、危険な ので
戻ってきたが(以前歩いた足跡がありその上を歩いても更に沈む様な状況で、落
とし穴状態になると更に危ない)
ラッセルの様に歩かなければならないので、もう1、2回雨が降るか気温が更に
上がって雪が溶けるまで登山を控えた方がいいと思います。
登山道にハイノキやシキミ等の倒れこみがかなり多くありました。(倒木も何本
かありましたが、登れないほどではなかった)このコースを含めて、冬 の間雪
に埋もれていた登山道は結構多くの木の倒れこみが予想されます。これらの処理
が気候が安定してきたら必要かもしれませんね。
情報提供:あるっく屋久島(増山 重雄)
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2 月25 日の竜神杉登山道の情報です。
2番目の沢を越えた辺りから、林道周辺に残雪があります。登って行くにつれ、
林道にも20~30cmの積雪が残っています。
『龍神杉まで0.3km』という看板前後から約1mの積雪。気温が高いため、
溶け始めており、所々が落とし穴の様。この先から、ピンクテープがほ とんど
視認できず、一般の方は迷う可能性あり。(ただ、僕が歩いた足跡が残っていれ
ば、それを辿りながら、龍神杉へ辿り着けます。)
今日は、天気が良かったため、アイゼン無しでもオッケーでした。『展望台デッ
キ』の写真では、黒っぽく見えているのがデッキの上部。1m以上の積 雪。龍
神杉周辺の林道は、ほぼ全く見えません。
明日からの雨で、これらの雪は、溶ける事が予想されます。大雨の場合、雪融け
水による沢の増水に注意です。
情報提供:森の旅人(高田 健太)
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2 月25 日の淀川登山口~花之江河の情報です。
ちなみに、カンジキを履いての登山状況です。
淀川登山口~淀川小屋までは、地面が見える場所と残雪箇所が半々くらい。雪は
融けてゆるんでおり、カンジキを履いても沈みこむ。淀川小屋から先 は、ゆる
んだ雪に膝までの高さが沈みこむ。場所によっては膝上。ボコボコ陥没した穴が
クーレターのようになっている。途中から木が道にせり出し、 ヤブコギのよう
な状態になる。
小花之江河手前ピークから小花之江河までは、ほとんど登山道が分からず歩きや
すい所を歩く。
小花之江河から花之江河までは、腰まで埋まる箇所もある。
花之江河から先は道が不明瞭な上に、胸高まで雪に埋まる箇所もあり危険。
情報提供:(社)屋久島観光協会 事務局 西川
↓こちらのページには、積雪状況の写真がアップされています。
屋久島観光協会から連絡がありました。渡邉剣真くんの情報です。
最新登山情報 平成22年12月21日
近日の天気により荒川~縄文杉までは登山道付近の雪はすべて溶けてなくなって
いました。全くありません。
※雪が見たい場合には、縄文~高塚小屋までの日陰の所に若干僅かに残雪が残っ
ております。
取り急ぎ積雪状況の報告まで
情報提供:GUIDE OFFICE 屋久島(渡邉 剣真)
宮之浦岳方面の情報はありませんが、登山道の溝状部分にに少し雪が詰まっているくらいだと思います。しかし夜間の気温は、普通に氷点下のはず。
麓はこのところ過ごしやすい日和が続いています。お正月まで穏やかだといいですね。
明日から岡山理科大の教員免許更新講座が始まります。小原が講師です。
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