屋久島のようす(自然史)

2015.09.23

ヤクタネゴヨウの新産地発見!

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今年2015年2月23日、屋久島自然クラブの調査で、屋久島町尾之間に、絶滅危惧種ヤクタネゴヨウ(レッドリスト絶滅危惧IB類)の第4の自生地が発見されました。

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モッチョム岳の登山道から双眼鏡でこの流域を観察していて、どうもヤクタネゴヨウに似た木があると考えていた地点で、実際に調査を試みました。現場はこのように、モッチョム岳西壁を望む険しい尾根の上でした。ここに上るための道はありません。読図でルートを見出すところです。

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やせ尾根の上に、ヤクスギやヒノキに交じってヤクタネゴヨウは生きていました。直径数十センチという大径木が4本だけの島内最小の群落です。

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針葉は5本。

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球果(まつぼっくり)は、表面がなんとなく葉っぱっぽい、ゴヨウマツ独特の質感です。

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注意深く地面を観察すると、小さな実生がいくつか。後継樹になるまで育つのは難しい様ですが、ヤクタネゴヨウはまだまだ未来をあきらめていないようです。

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2014.03.18

シカの食圧を考えるために、宮島に行ってみたい

宮島は面白そうだ。

神域として古来シカが保護されたため個体群が多く、独特の植生になっているようだが、それがどうも屋久島に非常によく似ている。特に矮小化した植物群があるという話が興味深い。

屋久島のもっとも貴重な植物に、高地矮生植物群がある。なぜ小さくなるのか。昔から様々な説があったものの、シカの食圧により小型化がすすむという進化圧が働いている可能性が高い。 つまり、シカは植物に食害を与える動物ではなく、屋久島の植物に食圧を与えて固有の進化を促し種の多様性をもたらしてきた「環境」なのだ。

念のため断わっておくと、シカによる農作物被害問題と、シカの生態系なかでの行動とは、まったくの別問題である。これを混同して感情まじりにシカを撲滅すべきだという論調になるケースがあるが、屋久島の自然に悪影響を与えかねない危険な考えかたではないだろうか。

むしろシカが狩猟によって大きくその数を減らしたこの50年間は、本来あまねく働くべきシカの食圧が大いに低減してしまった、異常な時代かもしれないのだ。シカ不在中に繁茂した植物をどう考えるべきなのか。 いやむしろ、本来の姿など、どこにもないのかもしれず、自然はダイナミックにその姿を変動させながら大きなうねりとして安定している、ととらえるべきなのだろう。

この宮島のサイトには複数の著者がいるようで、矮小化の原因は不明とする部分と、シカの食圧により小型化したと明記する部分とが混ざっている。これもまた、様々な見解による混乱の現れなのかもしれない。いずれにしてもぜひ見にゆきたい場所の一つだ。 佐渡と宮島は、おそらく屋久島を知るためのカギになる。

宮島・包ケ浦の矮小化した植物

2012.05.23

環天頂アーク 2012.5.4.

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2012.5.4.淀川登山口付近で観察した「環天頂アーク」。 けっこう珍しい現象のようです。

虹ではなく、太陽光線を上空の氷の粒が反射させて光のスペクトルを見せてくれるらしい。

見える仕組みが虹よりももっと難しく、わかりやすく解説する自信がありません(笑)

4月6日には太陽よりも低い位置に現れる「環水平アーク」も、屋久島で観測されたのですが、残念ながら私はそのとき不在でした。⇒菊池さんのブログ

2012.05.20

アリに化ける~アリグモ

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大川之滝のお地蔵を見てると、頭にクロヤマアリが・・・とおもったら、どうも雰囲気が違います。なんとなく顔が変。

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マクロでみてみると、この顔です。ハエトリグモに似ていて、目が怖い。
アリグモです。全長8ミリくらいか。

上顎が強大なので♂らしい。なにか獲物らしきものをくわえていますが、すで肉団子状に丸まっています。

かつては変装してアリに近づき、アリを捕食しているのだ、といわれていましたが、最近はそうでもなく、アリに擬態して敵に捕まるのを避けているということになっているようです。

しかしクモの顔は怖いです。この感情のなさそうなキラー顔。どうしてこういうものに怖さを感じるんでしょうね?

そういえば、アリか?と思ったらこんなのだったこともありました。

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ヒナカマキリの幼虫です。

2012.05.12

屋久島の人面岩

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数ある屋久島の奇岩の中で、最も「顔」ではないか?と思うのがこれ。
永田岳の人面岩。

キッと西を睨む、頭に余分なもののない紳士の横顔のようではありませんか。

 
 

 

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こちらは気づいた方も少なくないでしょう。平石岩屋の覆面岩です。近づいてみると大きな岩が割れて前後にずれていて、遠目に顔に見えているのでした。

他にもいろんな岩がありますね。面白岩探しは、宮之浦岳に登るときの楽しみの一つです。

2012.03.15

屋久島に氷瀑!2012.3.13

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2012年3月13日14:50、宮之浦岳から西南西を望んだところ。中俣の頭(中島の頭)北にある1650mピークの北面に、氷瀑がかかっています。小楊子川左俣右沢に落ちる小さな支流のスラブ滝が凍結したようです。

左俣本流には、屋久島の幻の大滝の一つ、小楊子大滝があります。この写真の右側を回り込んで宮之浦岳に突き上がってくるため、山頂からは見ることができません。

屋久島では3月上旬に雨が続き、積雪は消えましたが、12日の厳しい冷え込みで高地の湧水や水たまりがことごとく凍りました。この沢はふだんはまったく目立たず、私も気にとめたこともありませんでしたが、いいタイミングで凍結したようです。

地図で確認すると、この滝のある急斜面の標高差は約100m、氷の見える部分だけで50mほどあり、傾斜は緩いもののなかなかのスケールです。

 

 

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こちらは北北東面の安房川北沢右俣。沢登りの名ルートとして知られる美渓の源頭部です。左岸に青い氷瀑が見えています。高さはそれほどありませんが、それなりに立派そうで、近くで見てみたい。

 

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永田岳北尾根ネマチ峰にかかるすっきりした氷瀑。これも見えている部分は15mほど。下部が手前の鞍部に隠されているのでもうすこし高いかもしれません。

 

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宮之浦岳周辺の登山道も、北面の焼野三叉路~平石、南面の投石平~翁岳分岐あたりが、このように氷のナメ滝になっている箇所が多く、なかなか気を抜けません。条件によっては軽アイゼンくらいはお守りに用意しておいた方がよさそうです。

丁度友人のZaruarai君と

「小楊子大滝って氷瀑にならないでしょうかね?」

「水量が多いと凍らないんじゃない」

なんて会話をしたばかりでした。この分だともしかすると、登山道からは見えない宮之浦川右岸とか永田川神様のクボあたりに意外な氷瀑が隠れているのかも。

問題はどうやってそこまで行くか・・・ですね。

 

なお写真集『水の屋久島』志水哲也.(平凡社刊)に、小楊枝大滝の空撮写真が収録されています。

2011.05.12

オキナワイチモンジハムシの幼虫

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オキナワイチモンジハムシの幼虫。栗生青少年旅行村の植栽ガジュマルにて。

これが、ガジュマルなどイチジク属植物の葉をわしわしと食っています。

島内のガジュマルを見て歩いていますが、葉の乏しくなった木はかなり多く、この虫にやられているもようです。

2011.05.02

羽神岳で『宙杉(そらすぎ)』発見!

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羽神岳で大屋久杉を発見。半割れになった古木ですが直径4m近いもよう。

これも伐採の手を逃れたものでしょう。『宙杉(そらすぎ)』 と命名。

羽神岳の大屋久杉

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羽神岳の大屋久杉。中は空洞になっており、内側に斧の痕が残っています。薩摩藩政時代に試し切りをしたらしい。

国有林伐採の魔の手をも逃れて、生き延びたようです。切られなくて本当に良かった。

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その近くの国有林屋久杉伐採のようす。江戸時代の残材をとりだす土埋木ヘリ集材をやっていたと聞いていましたが、生きている屋久杉もついでに切っていたようです。

このあたりは数年前に観察していたのですが、伐採ギャップにあまり次世代の植物が生育していません。

林野庁が伐採した跡は、ヤクシカが新しい植物を食べることもあって、再生が進んでいないもようです。

植生が回復しないと、雨による土壌の流出が進む可能性があります。

2011.04.29

コサギが

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仕事しながらふと見ると、テラスの前にシラサギが。

コサギのようです。

そおっと双眼鏡を構えてみると、あの強烈な目を皿のようにして、虫を探しながら草むらをゆっくり歩いてゆきました。

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