エコツアーの仕事

2010.12.06

去年のコケの観察会の記事を発見

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環境省屋久島世界遺産センターの主催する「自然に親しむつどい」。

屋久島地元向けの自然観察会で、現在は年に4回ほど開催されています。YNACのスタッフはよく講師を引き受けています。

当時アクティブレンジャーだった川瀬さんのブログで2009年のコケの観察会の記事を発見。

川瀬さんの記事は読みやすくていいですね。今はどこかの国立公園で正レンジャーとして働いているはず。

今年度の観察会では、来年2月26日(土)の、「大川の滝周辺の自然観察」の講師をする予定です。

2010.11.02

「故郷」からの来客

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ケチョウチンゴケ Rhizomnium tuomikoskii (白谷雲水峡)

昨日は白谷雲水峡のガイドツアー。偶然にもお客さんが、父の出身地である四国のY市(とその近く)のみなさんでした。これまでにも人生ニアミスは少なくなく、面白い話題を提供していただいたのだが、ここまでドンピシャだったのは初めてです。

名産の「けずりかまぼこ」が県民ショーか何かに紹介されてすっかり値上がりしてしまったとか、「じゃこ天」からじゃこカツが派生したとか、白谷への車道がカブトムシの楽園「日土」への道に似てるとか、佐田のアコウとか、話題が激しく琴線触れまくり。

ツアーの際、ガイドとしてそれぞれのお客さんに対して距離感を変えるということは基本的にしないよう努めています。でも、今回はなんだか遠いルーツの地の一族に初めてめぐり会ったような、くつろいだ心持ちで、一日私も楽しく過ごさせていただきました。

・・・で、日暮れが早いですね。このごろ。帰りがすっかり暗くなってしまいました。白谷ツアーの帰りが、縄文杉の人たちより遅いというのもどうかと思うが、まあいいですよね。

ありがとうございました。

2010.10.21

再開します--2010.10.19白谷雲水峡の増水

しばらく遠ざかっておりました。再開します。

飛流落とし

奄美大島が豪雨と増水に襲われているころ、屋久島もかなりの大雨になっていた。

この日私は白谷雲水峡にいた。朝方の雨は上がっていた。昼食をとり、原生林歩道の奉行杉から楠川歩道に向かう頃、再び雨が激しくなってきた。気象情報の予測通りだったが、すでに雨が飽和して山は満水状態で、水が地面にしみ込まない。みるみるあふれて登山道は沢になった。

白谷川はこれ以上増水すると危険である。この時点で森歩きは中止して下ることにした。楠川歩道の白谷小屋跡徒渉点(左俣本流)を渡る。ここさえクリアできれば安全圏に戻ったことになる。

道下の白谷川は、みるみる増水してゆく。好判断だったなあ、と胸をなでおろしていると、下から登ってくる若者のグループがある。

「これから登るの?」

「そうですよ!」

先頭がむっとしたような、いやに強い口調で言う。しかしこの状況である。

「大丈夫かなあ?」

「一応ガイドやってますから!」

その男は勢いよく叫んで、お客さんなのだろう、不安顔な3人の女性を率いて行ってしまった。う~むガイドだったのか・・・余計な口出しをしたことになるか。

しかしなあ。

 

さつき吊橋に戻ると、白谷川はいよいよ大増水の様相だ。「飛流落とし」(↑トップの動画)もすごい迫力だが、その先がすごかった。

憩いの大岩

わかるだろうか?本流から左の旧川筋に水が勢いよいく溢れ、遊歩道が渡れない。ここまで増水するのは珍しい。

当然下から登ってくる人はいない。この場合、飛流橋まで戻って、飛流歩道から駐車場へ下山するしかない。弥生杉歩道を迂回することもできるが、途中滝で水浴びさせられる所があるだろう。

白谷広場まで戻ると、 ここの橋もなかなか迫力ある様相になっていた。

白谷広場

もし白谷に行って、入口がこんな状態だったら、考えますね。

白谷小屋跡の徒渉点には、非常用の岩と倒木を使ってなんとか渡れる箇所が一応ある。おそらくあのガイド君はそれを使えるという目算があったのだろう。

しかし明らかに増水が始まっている状況で、非常事態にそこならなんとかなる、という程度のルートをあてにして出発するという判断は、正しいといえるだろうか。リスク管理面から考えさせられる。

(ところで彼ら…無事帰ってきたんだろうね)

2010.05.19

鹿児島大法文学部  屋久島実習 2010.5.14-16

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鹿児島大学法文学部、萩野ゼミの『エコツアー入門』が開催されました。

内容については、「まかせます」(笑) とのことだったので、少々考えました。

自然科学系の学生は何かしら自然を見る目というか切り口を持っていることが多いのですが、文系の学生はまず感性でとらえることが多いようです。

では感性から行くか。業界で、よく「五感を使って・・・」というやつです。

感性といえば、まず「痛い」かな・・・ということで、最初に「トゲトゲ植物」というキーワードを与え、ここから切りこんでゆくことにしました。

また、フィールドワークの基本は地図ですよ、ということでワンコインマップを用意し、読図の基本も適当にやりながら行動。

林道の見晴らしのいいところで止まり、現在地を確認してから、その辺の植物などを観察。トゲトゲ植物はなにかしら必ずあるものです。

アシスタントに大森研修生が来たので、必然的に昆虫班が誕生。植物はまとめてみようということで、植物班も設立。キーワードは「パイオニア!」

標高があがるとコケが出てきたのでコケ班が成立し、紀元杉の胸高周囲を検証したり倒木の年輪をカウントしたりで年輪班ができ、というふうに興味の引っかかるままにテーマを決めて適当に班分け。

中日の午後にはちょうど大潮だったので、春田の離水サンゴ礁でタイドプール観察。やはり若者には動く生きものが人気ですね。トゲトゲのオチは、ウニということで(笑)。

いろいろ考察したり、カウントしたり、いろいろありましたが、とりあえず気をひかれたものに切り口を作り、そこから理解を広げてゆく。まあ理想的には何かがお気に入りになってくれるといいのですが、そこまで行かなくとも、切り口を持つことで自然に切り込んでゆく面白さ、ということは感じてもらえたかな、と思います。最後の夜には各班ごとにまとめて、一応プレゼンまでしてしまいましたし。

講師側の感想としては、やっぱり文系の人も自然科学系のフィールド実習を受けるべきではないかと思います。とくに教育学部の人には必要ではないでしょうか。理解する喜び、というものは、教育の現場も、エコツーリズムや環境教育の現場も同じものですから。

2010.03.04

「科学Tryアングル岡山」2日目 湯泊・栗生

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科学Tryアングル2日目。本日は、海岸に見られる地質と海の生き物について。

まず湯泊海岸にゆき、小原が講師で屋久島の土台を形作る、4000万年前の四万十層の観察。

ここでは海底で平らにたまったはずの堆積岩がむちゃくちゃに褶曲したり逆転した様子や、泥岩層に残されたゴカイのような生き物の巣穴など(生痕化石)を見ることができます。

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当日のいい写真がなかったので、↑先日の地学同好会の巡見の時のもの。右上に見事な褶曲層があります。

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海岸にはこんな不思議な穴のあいた石がたくさん落ちていて、みんな「?」

これは何かといいますと・・・

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サンゴの骨格です。栗生タイドプール水族館のその名も「サンゴ池」。

講師は松本で、生きているハナガササンゴやミドリイシなどサンゴ類、ギンユゴイやシマスズメなどの魚類、ホンダワラ類、マフノリ、ミドリゲなど海藻類、等々、春めいた海で生き物たちを観察。ここはいつ行っても楽しいところです。

他に大川之滝でホルンフェルス(変成岩の地形)と、千尋滝(花崗岩の地形)を見て、宿に帰りました。

岡山からの実習は、リーダーである西村先生のポリシーで「みんなで自炊」を旨とします。大勢なので、巨大なミズイカや薩摩黒豚など、ローコストでありながらけっこう豪勢にやってます。

4日は大雨になりましたが、さて・・・?

  

2010.03.02

「科学Tryアングル岡山」 屋久島フィールド実習開講 2010.3.2~6

岡山大学、岡山理科大学、倉敷芸術科学大学、津山工業高等専門学校がスクラムを組んで取り組む 「科学Tryアングル岡山

文科省の戦略的大学連携支援事業です。

目玉プログラムの一つ「屋久島で学ぶ自然の仕組みとフィールドワーク技法」
いよいよ本日から始まります。YNACスタッフが講師を務めます。

すでに定員(14名)に達し、各校から理系の教員のみなさんが同行します。本日は屋久島に全員集合、夜小原が「屋久島自然概論」をレクチャーします。

意欲的な学生指導はこちらとしても楽しいし、先生方は様々な分野の専門家なので、様々な切り口から充実したディスカッションができ、われわれも非常に勉強になります。

天気はドンピシャで木の芽流し突入(笑)。

好天はあまり期待できませんが、かえって照葉樹林の新緑の開始を目の当たりにできる、絶好のチャンスかもしれません。宿舎は尾之間で温泉間近だし。

楽しみ楽しみ。

2009.12.16

ニュージーランド北島 ワイポウア/フィリナキの森へ、行ってきます

風の旅行社主催のニュージーランド北島 原生林のへ、行ってまいります。

出発はもう少し先で、12月30日に成田発の予定です。

縄文杉とワイポウアの神木タネマフタは、すでに姉妹木の契りを結んでいますので、ささやかながら、屋久島民間側からの表敬訪問という気持ちもあります。

ワイポウアは歴史的に見ると小杉谷~大株歩道、といった感じで、過去の大規模な伐採エリアのうち、わずかに残された森の中に巨木が点在しています。

フィリナキは北島最後の原生林の一角として、激しい自然保護運動の戦いの末に残った、輝かしい戦果です。屋久島で言うなら瀬切・花山といったところでしょう。しかし屋久島の森の大半は少なくとも過去に一回は伐採を受けているのに対して、フィリナキは掛け値なしに本物の原生林です。

『もののけ姫』に出てくる「シシ神の森」は、よく言葉では聞く手つかずの森を描いたものですが、いわばあれがニュージーランドに現存しているわけです。凄そうでしょう?(笑)

2009.11.26

原生林に埋もれた古道をゆく~愛子岳小杉谷ルート

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本当に地球が丸いような気がする。愛子岳から太平洋の展望。

環境省チームの世界遺産調査に同行してきた。場所は世界遺産の東の腕、小杉谷~愛子岳。国有林伐採のはざまに残された、白谷雲水峡よりも狭い森だが、伐採の進んだ屋久島東部にあってはその貴重さはかけがえのないものだ。

その中に、小瀬田から小杉谷へと続く、古道が通っている。小瀬田~愛子岳間はひたすら尾根登りの続くきつい道だが、山頂直下から小杉谷へは緩やかな深い森の中をゆく歩きやすいいい道で、学生の頃(30年も前!)よく縦走のコースとして使っていたし、5年ほど前まではしばしば通っていた。

今回の環境省調査同行は、だから5年ぶりということになる。屋久島に住んでいるからと言って、全コースを毎年チェックできるわけではないので、インターバルはまあそんなものだが、台風ギャップがあちこちあったので、道の状態は気になっていた。環境省のMさんに声をかけていただいたので、渡りに船とゆくことにした。

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道はこんな雰囲気。以前のビニールテープに加えて、誰かがここ2~3年の間に突破したらしく、ところどころピンクテープが付いている。道はあるのだが、なにしろわかりにくい。かなり山慣れした人でも、迷うところは多いだろう。

 

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愛子沢の渡渉点。昨日の雨でけっこう増水している。なんとか渡れる程度だった。雨の後は無理だろう。なおエアリアマップなどの登山地図にこの路線が記されていることがあるが、ほとんどは線が間違っている。

 

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でもさすがに古道で、森のしっかりしているところは道型もしっかりしている。このように要所には石段が組まれ、歩きやすい。平らなところでは、完全に消えているように見えるところもある。

 

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山頂直下の急な巻き道(←ここは万一落ちると取り返しがつかない。固定ザイルがほしいところ) を経て小瀬田からの道と合流し、ここからは一般ルートで頂上へ向かう。山頂部はこのような岩場が数か所あり、なかなか難所だ。乾いていれば大丈夫だが、冬場に雪や氷がついた時は、ザイルをつけた方がいい場合もある。愛子岳と本富岳は、安易に登ったり、人に薦めたりしていい山ではないと思う。

 

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頂上は快晴。素晴らしい展望が貸し切りだ。宮之浦岳方面を望むと、伐採後は落葉樹が多くやや白っぽく見え、原生林は黒々と見えるのがわかる。

左やや上に広がる青い谷間は安房川小杉谷の上流。太鼓岩から見える風景をさらに俯瞰する位置にあたり、かつてはその禿山ぶりに、知人で屋久杉材の運搬をされていたAさんがあきれて「切るも切ったもんだ」と語ったところだ。右手の双耳峰はヨウジガ高岳で、その下の黒々とした森の谷間が白谷雲水峡。写真中央やや右はゲンタンクボ(愛子沢上流)で、落葉樹が目立つ。

 

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その左は太忠岳・石塚山から荒川方面。写真では不鮮明だが、愛子岳から黒っぽい世界遺産地域が石塚山へ帯状に続いているのがわかる。 いつも天柱石から愛子岳に人が登っていないか見るので、反対に双眼鏡でのぞいてみたが、よくわからない。雲の下には荒川ダムが、昨日の雨で満タンになり、放水しているのが見える。

 

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このルートはモミの大木とスギの切り株が多く、なぜかスギの成木は少ない。引き返す道すがら、何気なく入ってみた切り株の中が、巨大な空間になっているのを発見。2本合体しているようだ。ウイルソン株より一回り小さいくらいだろうか。思わぬ見っけものだった。

 

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小杉谷も間近。間伐林の中を行く。このルートを登る場合、小杉谷から登り口を探すのがかなりの難関だ。

2009.11.06

ニュージーランド北島 コケと巨木の森ツアー開催します

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ニュージーランドの岡田愛さんから資料がどさっと届きました。年末年始のニュージーランドツアーのための数々の書籍やパンフレット、地図など。これを読んで猛勉強しろというわけです。手厳しいぜ、愛ちゃん。

しかしカウリの巨木のUnbelievableな伐採風景写真や、エダハマキ・ナギ・ダクリディウムなどのゴンドワナ系針葉樹の巨木など眺めていると、心が躍ります。これらの不思議な針葉樹は、ボルネオのキナバル山ですでに見た、なじみのグループが多く、赤道をまたぐ、植物の分布の一端を実感できそうです。

ニュージーランド北島の、カウリはおそらく南アフリカのバオバブと並ぶ、南半球最大の樹木ですし、後半に訪れるフィリナキWhirinaki Forestは、おそらく南半球最後のコケに覆われた巨木原生林の一つです。森が深いので、拠点となるロッジまではヘリで移動することになりそうです。なんて楽しそうな!

モスフォレスターの本懐を遂げん、といったところでしょうか。

キウイなどの飛べないニュージーランド独特の鳥も非常に面白く、この日程では絶対に短すぎる!と思うに違いない、とすでにあきらめています(笑)。

ツアーは任せて安心の風の旅行社主催、YNAC小原が講師です。詳しくはこちらのサイトをご覧ください。

風の旅行社 『ニュージーランド ワイポウア・カウリ巨木の森とフィリナキ森林公園』 

2009.08.27

沢登り 至福の一日

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楽しかったですね~。同級生6人娘の皆さんです。滝に集う表情をアップでご紹介します↓。

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沢登りの歓喜の表情。素晴らしいですね。祈っている人と叫んでいる人がいます。

代表者の斎藤さんは「家に戻ってきた気がした」とまで思ったそうです。

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↑我が家にて、水を得た魚のような表情をみせる斎藤さんです。

YNACのサイトにコメントいただきました。こちらもご覧ください。

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